2019年2月8日金曜日

病理の話(292) 耳やべー超やべーよ

何が不思議って目とか耳とか鼻とかがちゃんと進化したのが不思議だよ。

たいていの人は「目ってやべーな」って言うけど、俺にいわせりゃ、「耳」だって相当やべーから。

耳の中とかマジやべーからな。ホネめっちゃあるから。知ってる? アブミ骨、キヌタ骨、ツチ骨。俺なんかさあ、もはや形も機能もぜんぜん覚えてないけど、名前があまりにアレなんで、40を超えてもいまだに19歳で習った解剖学の用語がいまだに新鮮に脳の中にばっちり残ってる。この3つのホネはマジでやべー。

ぐぐってみるとわかるけど、「何、その精巧なプラモwww」みたいなホネ。
3つが継ぎ合わさって、鼓膜の振動を増幅する「だけ」のために配置されてるの。

マジやべーから。

ぐぐってみって。

すげーから。俺普通に笑っちゃうもの。

「音」を「振動」に変換させるっていう、まあ言ってみりゃ「物理」じゃん。「物理」を生存戦略に用いてるわけよ。俺ら人間サマはさ。

何とちくるってんだって思うよ。普通。




こないだ聞いたよ。

パフュームだったかももクロだったか忘れたっけど。

なんかすげーボーカリストってさ、高い音を出すときによ、唇がブブブンって震えるように歌うんだと。

音は振動だからさ。

うまいことバイオンだかなんだかを響かせてきれいに歌うと、共鳴だか救命だか知らねぇけど、唇がブルルンって振動するんだと。それが目安なんだと。

で、そういうことができない状態で、のどをカスッカスに枯らして無理やり高い音を出すのは、プロの歌手としては、だめなんだとさ。ほんとかどうかは知らねぇよ。ラジオで聞いたんだ。

……で、な。考えてみて。

そのカスッカスの高い音あるじゃん。いかにもさ。紙をすったみたいな。シーみたいな感じで出す、高い音。カラオケで出ない音を無理やり出そうとしたときにキーってなるときの、カッスカスの音あるじゃん。

あれ……普通に俺らの耳で感知できるっての……すごくね?

だってシーとかキーとかだよ?

唇すら震えさせられないレベルよ?

どんだけ繊細な振動かって話よ?

それを、俺らの耳はきちんと振動に変換して、脳神経で電気信号として読み取るってんだからさ。

どういうことなの、って話よ。




そしたら調べてみるとさ。

アブミとキヌタとツチってホネはさ。

全部、「てこの原理」みたいな形をしてるわけよ。あと、面積的にも増幅してるってうわさだけど詳しいことはわかんねぇよ。

で、これらの骨が、鼓膜から順番に並んでるわけ。ツチ、キヌタ、アブミの順番で。

音がさ。

鼓膜を震わせるとさ。

その振動が、まるで糸電話の糸を伝わるみたいに、ツチキヌタアブミの中を伝わって、最後には内耳の蝸牛って言われるカタツムリみてーな構造の中に伝わるんだけどさ。

このツチキヌタアブミを通り過ぎる間にさ。てこの原理と面積のなんちゃらでさ。

音が20倍くらいに増幅されるっていうんだよ。

何言ってんだかもうびっくりだよ。おじさんはびっくり。

何アンプかましてんだよ。

人体だぞ。

おぎゃーって生まれてきただけの人体だぞ。

いつの間にそんなちっせぇ増幅器を、こんな脳にクソ近いところに平気で配置してんだ、って話だよ。





……脳神経に絡む話をするとだいたいしゃべり方が雑になるんだよ。

なんでって?

笑っちゃうくらい精巧だからだよ。そりゃ正常がこれだけ複雑だったらさ、病気もさぞかし複雑だろうなーってさ、なんとなくわかるもんな。