2020年11月9日月曜日

病理の話(472) プレパラートの持ち方

指先がサラッサラッ、の人がいるとします。


清楚なかんじの大学生とか、あるいは、霞食ってる仙人とか、ドラえもんとか。


そういう人の指って、ほんとにアブラがぜんぜんついてない、と思いがちなんですよね。特にぼくくらいの、今42歳くらいの人はそういう感覚があると思う。


でも若い人や、あるいは、デジタルデバイスを使いこなしている人たちは、「人間の指先にアブラがねぇごどなんで、ねぇんだ!」ってことをよくご存じです。なぜなまった?


スマホなんてちょっとスッスしたら指紋つくでしょう?


テレビの回りを拭き掃除してるときにうっかり画面さわったら、あとで朝の光が差し込んだときとかにそこだけなんか汚くなってるのが見えたりするでしょう?


知ったかぶりしてメガネクイってするときにうっかりレンズさわったらそこだけ曇ってみづらくなるでしょう?




で、病理医の話なんですけど、顕微鏡でプレパラートを見るときの話ですよ、あの「ガラスプレパラート」ってやつをですね、べたっと指で持つと、そこに指紋が付くんですね。


その指紋の部分を顕微鏡で見るとね、なぜでしょう、これはもう言語化できないんですけど、油脂が強拡大されてですね、




ウワーーーーーーーーーー!




って病理医は発狂して寿命が80年ほど縮みます。かわいそう。


だからみなさんはガラスプレパラートを絶対に「直でベタ持ち」してはいけません。


ではどうするか? かんたんですね、ハンドパワーです。


触らずに持ち上げればいい。ただ、そうは言っても、夕方とか、疲れているときとか、ちょっとハンドパワー足りない日ってありますよね。


今日はそういう、「ハンドパワーでプレパラートを持ち上げられなくなったときのコツ」を、すごく丁寧にお伝えしますね。説明が長くなるかもしれませんが、おつきあいください。







こうやって持てばいい。





おしまい。

でもこれ本当に大事なので医学生諸君は覚えといてね。まあもうプレパラート触る実習もあんまりないんだけど(今はバーチャルスライドといってPCモニタで実習することが多いですね)。