2017年5月16日火曜日

芳一的思考

日中、歯を食いしばってしまう悪いクセができた。ぼくは元々、ハナクソをほじるとかびんぼうゆすりをするとか頭をぽりぽりかくなど、あまりお行儀がよいとは言えない行動を無意識にとってしまうタイプの人間である。

ハナクソをほじるとかびんぼうゆすりをするというのは、「人目に付く」。だから、自分でも意識して控えようという気持ちになるのだが、アゴに力が入るくらいだと周りの目にはつかない。まあいいかと思って放置していたら、治療後の歯の根が少しきしむようになってしまった。

食いしばりすぎである。

プロ野球選手の中には、スイングの際に歯を食いしばるあまり、奥歯がすべて欠けてしまう人もいると聞く。噛む力はとても強いのだ。ばかにはできない。

「かさぶたをはがして遊ぶ」とか、「爪の横にできたささくれをむいて遊ぶ」とか、「ヒゲをつまんで抜く」などは、いずれも「ライトな自傷行為」と言い換えることができる。とるにたらない刺激を与えて瞬間的な快感を得る行動。

これらが、社会の文脈で「はしたない」「お行儀が悪い」と注意して頂ける世に生きていることは、ぼくにとって好都合である。無意識で自分をむしる行動は、はしたない以前にあまり体によいものではなかろう。そこまでひどく悪いわけでもないが。

ということで、どうしたらこの「食いしばり」をやめることができるだろうかと、考えている。

食いしばりをやめよう、と考えていると、アゴが気になってしかたがない。あーもう。




意識すると、忘れられなくなるという現象は、脳の必要悪なんだろう。

集中が必要な人に、「舌ってどこに置いてあるんだったっけ?」と問いかけるいやがらせをしたことがある人もいるだろう。一度意識してしまうと、なかなかスッと忘れることができなくなる。

これはたぶん、「脳が、情報に重み付けをする」という機能の副産物だ。

すべての情報を等価に記憶していたのでは、何かが起こる度に記憶の引き出しを端っこから順番に開けていかなければいけなくなる。だから、「ひとたび意識したならば、その記憶は取り出しやすいところに一時ストックする」機能があるのではないかと推察する。

このことを逆手にとって、仕事をしているとき、ストレスがかかっているときに、歯を食いしばるのではなく、何かほかの行動を無意識下に選択できるよう、脳の引き出しの整理をすれば、食いしばりというクセは奥深くにしまわれて、再び出てこなくなるのではないか。

たとえばペンを回すとか……。

腹筋に力を入れるというのもいいかもしれない。6パックになるかもしれない。

ふくらはぎを動かしてエコノミークラス症候群の予防をするというのはどうだ。




結果、現在、髪の毛、鼻の穴、耳の中、アゴ、指先、腹筋、背筋、ふくらはぎ、足の裏などが気になったまま仕事をするという地獄のような毎日を送っています。