水曜どうでしょうというテレビ番組があって、DVDなどが今でも出続けているのだが、そのディレクター陣が書いた「どうでしょう本」というのがかつて2冊だけ発売された。
まあ大した本ではないのだが今まで読んだ本の中で一番おもしろかった本のひとつだ。
大したことはないのだが創刊号で「うどん」の話を特集していたのだ。
大した内容ではないのだがそのうどんの話がとても好きだったので、ぼくは、本を読んだあとに、香川県に行って実際にディレクター陣が行ったうどん屋というのを全部回ってみたのだ。
2泊3日で14軒回ったのだが、当時はぜんぶ食べられた。香川のうどんは一杯ごとの量が少なめで(多くもできるけど)、1日5食くらいは余裕で行けるのだ。
山越、池上のような超有名店からスタートし、がもう、たむら、日の出製麺は午前中しかやってないから行けない、なかむらは系列店がいっぱい、香の香は釜揚げ、山田家は定食、おか泉はてんぷら、A店の弟子がB店でそっちのほうがはやってる、C店はセルフだけどD店よりむしろ手がかかってる……。
香川県にはその後何度もプライベートで訪れた。毎回、1泊しかしない。一度に約7軒で食べる。食べても食べても飽きない。ぼくは、基本的に、遊び目的では「一つの場所に複数回訪れることがない」のだが、香川だけは別である。通算で訪れたうどん屋、50軒までは数えたのだがもうよくわからなくなってしまった。ブログにでもまとめておけばよかったと少し後悔しているのだ。
さて自慢話はいくらでもできるのだが、自慢というより人体の神秘みたいな話をする。
毎回、うどん旅行をするたび、朝から夕方までがっちりうどんを食いまくって、いざ晩飯になると、「脳が炭水化物をうけつけなくなる」。米を注文する気にならない。ラーメンとかそばとかパスタとか全く頼めない。「骨付き鶏」だけ食べて寝てしまう。いつも、我ながらほんとうに不思議である。
「空腹にはなっているのに、脳が炭水化物をうけつけない状態」
人に説明しづらいのだが、口の中に、「もうごはん系はいらんわ」という味が「デフォルトで広がっている」みたいな感じになっているので、晩飯では炭水化物がとれなくなってしまう。
人体というのは「昼間にうどんを食いすぎたからそのへんにしておけ」というのを、きちんと調整しているのだなあ、と、毎度毎度、ほれぼれする。
ただしビールだけは飲めるので、ああ、飲酒というのはやはり、人を太らせるなあと納得したりもするのだ。