2016年12月15日木曜日

GIRA GIRA HIKARU

世代ごと、人ごとに、自分の何かを彩ってきた音楽というのがあるだろうな、とは思う。

何か、アタマがごしゃごしゃとなっていた時期に聞いていた音楽は、記憶に残る。
とてもいい思い出や、いやな思い出といっしょに、ある曲が忘れられなくなる。
記憶と歌詞がセットになっている。
リズムで風景が呼び起こされる。

音楽と記憶がリンクしている、っていうとかっこいいけど、いじわるに言うならば、曲が鳴ると黒歴史! 黒歴史! と吠え出す、パブロフの犬、みたいなものだ。


話は変わる。

かれこれもう15年くらい、ぼくと同姓同名の人間がブログをやっている。すごいポエムを載せている。研究会などで出会ったあまり面識のない人に、

「先生すごいよね、ツイッターのほかに、ブログもやってて」

とか言われることがある。前はブログはやってなかったので、「人違いです」と言えたのだが、今はこのブログをやっているので、ややこしくなった。念のため、尋ねる。

「それはあれですか? 脳がトラベルほうですか?」

たいてい、こうだ。

「いや、なんか死がどうとか書いてるほう。」

それはぼくではない方の市原君です。お間違えのないように。

正直、迷惑であった。ポエムを書いてないのに、ポエマーだと思われるのはつらいな……。



でも、まあ、最近思うことがある。人間、誰しも、自分ポエムを詠むよなあ、ということ。人は誰もが、音楽がからむと、すぐポエむ。

(ポエ-む:【動詞】詩を読んでドヤる。例「あいつまたーーってやがる」)

私ポエマーじゃないよとか、俺そんな痛い人間じゃねぇよとか、そういう「アンチポエム型」の人間に限って、べろべろに酔っ払った深夜2時過ぎにテレビから聞こえてくる昔のランキングに、「おわー懐かし!」みたいに大声で反応して、涙目になっていたりする。

そりゃ、ある種の、ポエムじゃねぇか。

言語を使わないでポエマーやってるだけじゃねぇか。

音楽が記憶を呼び覚ます、みたいな奴だろ? ポエムじゃん! 自分、ポエマーじゃん!

ずるいよなーと思う。ポエムのこと、バカにしといてさ。音楽がかかったら、感傷的になってさ、歌詞とか口ずさんでんじゃん。歌詞って詩じゃん。

ぼく「……果てしない闇の向こうに?」

元バスケ部の営業「ウォーウォー手を伸ばそう!」

ぼく「……どぶねずみみたいに?」

コテハン歴22年コアゲーマー「美しくなりたい!」

ぼく「……走る走る?」

ナンパの達人スタイリスト「俺たち!」

ぼく「ポエマーじゃねぇか」

3人「いいえちがいます。」



築地の国立がんセンターで、病理医になるための任意研修をしていたころ、毎日がぎちぎちに充実していて、ありがたいやら、つらいやら、もうズタボロだったときに、ある曲を聴いていた。

「モータウン」という曲で、ナンバーガールというバンドの曲である。ぼくは、この曲がかかると、つい、普段はバカにしている「ポエマー」になってしまう。せっかくなので、皆さんにも、「モータウン」の歌詞をご紹介しようかなあと思う。JASRACに怒られない程度に。



















※「モータウン」はインストゥルメンタルです。