昼間眠くなっていなければよい睡眠が取れている証拠、みたいなことをいっているけれども、つまらない本を読んでいたら即座に眠くなるのは別に睡眠の質とは関係ないようにも思う。毎日やっていることが少しずつ違うのに、今日は昼休みに眠くなった、昨日はならなかったと比べるのも何か違う気がする。
要はぼくはそれほど睡眠の質が悪くないのだと思う。だから大丈夫だ。いい睡眠をとろうとするのはやめることにした。きっと、ぼくは、そこそこいい睡眠をとっているはずだから。
だいたい、いい睡眠のために夕方軽い運動をしましょうとか、めんどうでやる気がしない。寝るときの姿勢くらい自分の好きにさせてほしい……。
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こうしておいたらきっといいことがあるよ的な文脈で、毎日少しずつ「損」をするやりかたがある。
その損というのが、金銭なのか手間なのかはともかくとして。
こまめに水回りを掃除するとか、ポイントカードを財布に入れておくとか。
ぼくという一個体を考えても、あの手間は惜しんでないけどこっちの手間は惜しんでいるなあ、みたいなことがある。掃除は好きだがポイントカードはほのかに嫌いだ。減塩は苦にならない。運動は苦ではないが面倒。睡眠は好きだが睡眠の質について考えることは嫌いだ。
ただそれだけのこと、なのかもしれない。
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がんばって勉強したら将来いいことがあるよ、と親にいわれた記憶は……ない。身近な人間にもいわれていないと思う。
けど、本で読んだかテレビでみたか、誰かにいわれた気になって、がんばって勉強をした結果、「ずっと勉強し続けることで生活が保たれる人」となった。この「損」は果たして損だったろうかと考える。