2020年4月8日水曜日

病理の話(432) 酸素いただきますテイッ

さっきまでゴリゴリの記事を書いていたのだが、ここまでフクザツなものを早朝に読むとお腹痛くなりそうなので、一気にゆるく書き直す。



人体ってめっちゃかしこいよ。



……だめだゆるすぎる、もうすこしなんとかしよう。




人体のかしこさ、調べれば調べるほどすごいのだが、たとえば「ヘモグロビン」を調べていると本当におどろく。

(さっきはここをゴリゴリ書いたけど、単純にします)

ヘモグロビンというのは赤血球にふくまれている物質だ。健康診断でも名前が出てくる(HbA1Cというのはヘモグロビンの一種)、だから知っている人は多いだろう。

赤血球を構成する成分の1/3がヘモグロビンである。なあんだ、それだけか、と思ってはいけない。だって残りの2/3はほぼ水分。つまり、赤血球とは事実上ヘモグロビンの入れ物である。

赤血球のはたらきをご存じか? 「酸素を運搬する」。そのとおり。

ヘモグロビンというのは酸素と結合できる。だから赤血球は酸素の運び屋になれる。

赤血球は、肺で酸素を拾って、血管を移動して、全身の細胞に酸素を届けるのだ。




でもちょっと考えてみてほしい。



赤血球、もっというとヘモグロビンは、いったいどうやって「ここで酸素を拾おう」「ここでは酸素を手放そう」と考えているのか?



そんな都合のいい化学物質があるのか?







赤血球がぼくらと同じように意識をもっていて、「酸素はここからここまで運べばいいんだな、OK」と理解しているならいいけれど、たんなる化学物質が、「肺では酸素を拾います」「それ以外の組織にたどり着いたら酸素を手放します」「血管の中を移動しているときには酸素は手放しません」と判断しているというのはちょっとブキミである。






で、ここがまあ人体ってのはほんとにかしこいなとおどろくポイントなのだけれども。

ヘモグロビンというのは1つの化学物質であるかのように書いたが、実は、フォーマンセル……4つの高分子のユニットなのである。これを仮にNEWS(ジャニーズ)に例える。

そして4人のメンバーがそれぞれ酸素分子1つとくっつくようになっている。すなわちヘモグロビン1ユニットで4つの酸素を運べるのだ(効率がいい)。

さて、NEWSの4名のうち、手越くんが酸素を拾う。すると、なんとそれ以外の3名はただちにシフトを変化させて、「俺も俺も」と、酸素と結合しやすいフォーメーションをとる。

「1箇所でも酸素がくっついたら構造が変化して残りの3箇所にもすぐ酸素がつく」ようになっている。

肺にたどりついたばかりのNEWSは酸素をもっていない(全身の細胞に渡したあとだから)。そして、肺には酸素がいっぱいある。酸素がひとつでもNEWSに衝突する。すると手越くんは手がはやいのですぐに酸素とくっつく。するとほかの3名もすぐに酸素を拾う。

そして、NEWS全員が酸素をもったまま、全身をめぐり、酸素をほしがっている細胞のもとにたどり着く。

「酸素をほしがっている」すなわち、酸素濃度が低い環境で、増田くんがぽろっと酸素を落とす。そういうことがある。まわりに酸素が薄ければ薄いほど落としやすい。たぶん視聴率が低い状態だったのだろう。うっかりと酸素を落とす。

するとそこでNEWSはふたたびフォーメーションを変化させる。「増田くんが酸素を落とすと周りに喜ばれるらしい」と感じて、手越・加藤・小山はすぐに酸素を手放す。文字通り空気を読むのだ。



NEWSのたとえばなしでかえってわかりづらくなってしまったが、ヘモグロビンは、「1つでも酸素がくっついたら、そこからすぐに4つくっつけるように、酸素くっつくモードにフォーメーションチェンジする」し、「1つでも酸素を手放したら、そこから全部の酸素を手放すように、酸素手放すモードにフォーメーションチェンジする」のである。これはひとえに、ヘモグロビンが、ヘム1つでできておらず、ヘム4つを含む「高分子化合物」であるからできる荒技だ。

この「フォーメーションチェンジ」をすることで、周囲の酸素濃度に応じて空気を読む戦略がとれる。なんてかしこいんだ!





個人的には増田くんがピンで出てくるとつい応援してしまうのだが、一番いい仕事をするのはやはりNEWSの4人が集まっているとき……だと思う……手越ピンのほうが稼ぎはいいかもしれないが……まあそれは……。