2023年9月21日木曜日

しぶとく生きる

去年かおととしかにGUで買った職場用のパンツがよれてきたので新しいのを買おうと思った。自分が今履いてるものと同じものをオンラインで買えばいいと気づいて、はじめて店舗ではなくオンラインショップを使うことにした。これが今の若者の服の買い方かあ、とホクホクした。しかし15分くらいであきらめた。ぜんぜんわからない。まず今履いているパンツがどれなのかがわからない。タグについている番号などで検索してもうまく出てこない。どれも似たような形なのでひとつひとつ、サンプル画像の中にならぶ動画でチェックするのだが、形状もそうだがなにより生地のキメの細かさというか肌触りがよくわからない。今履いている、乾きやすいやつがいいのだ、ただそれだけなのだ。特殊な新商品を探したいわけではないのだ。でもわからない。これか? こっちか? 画像がいっぱいついているが、黒を指定するとぜんぶ似たような素材に見える。モデルはいちいちニヤニヤすんな。ああ、Mサイズの在庫がない。サイズの在庫で絞り込みたいのだがそういう機能がないようだ。あるのかもしれないが2秒でたどり着けなかった時点であきらめてしまう。「入荷したら知らせる」というボタンがあるけれど、いつ入荷するのかの目安が書いていないからこのボタンひとつに賭ける気にはならない。これなら明日にでも実店舗を訪れたほうが早い。なんのためのオンラインショップなのだ。メルカリやZOZOタウンも使ったことがないが、いっそそっちのほうがいいのか? GUのパンツを2年で履きつぶして更新するのだから新品のほうがいい気がするのだが……。


……みたいなブログをずっと書いている。


書き殴りだ。いやキーボードだから打ち殴りか。

19歳のころから、媒体を移り変わりながらなんだかんだで26年書いている。おかげでキーボードを前にすればとりあえず1500字とか2000字くらいの文章はすぐに出力できるようになった。けれども、もう少しよく考えてものを書きたい気持ちもある。それができたらどんなに良かったろう。いや、よけいにつらかったかもしれない。



ちかごろは、「ちょっと生きづらい人」が書くエッセイをざぶんざぶん読んでいる。又吉直樹、僕のマリ(これで人名)、道草晴子。なぜこんなにも生きづらい人の話ばかり手元にあるのかと不思議に思うが、ちゃんと理由があって、先日青山ブックセンターで平積みになっている本を手当たり次第に購入するイベントというのに出て、本当に手当たり次第に放り込んだらこうなっていた。そういう品揃えにぼくの目と手が反応したということだ。ひとまずエッセイばかり読んで小説を後回しにしている。小説もやはり、生きづらさを語ったものになっているだろうか。

創作というのはたいがいそうなのだろうか。

そうだろうか。




ここ1年くらいで読んで気に入った本でいうと、そういえば、田所敦嗣『スローシャッター』から感じ取ったものは「生きづらさ」ではなかった。「しぶとく生きること」というか。両者は同じかもしれないがちょっと違う。離人して俯瞰して書くか、縁辺視を強化して書くかの違い。田所さんの書くものは、ここしばらくぼくが読んでいるものとはちょっと違った。彫刻刀で少しずつ何度も削り取るような本で、ああいう文章が書けたらいいだろうなと思った。