待ち時間を空港のロビーで過ごしてもよかった。
ただ、ちょっと気分を変えたくなった。車を駐車場に止めた後、運転席から後部座席に移動し、モバイルWi-Fiの電源を付けて、ノートパソコンを開いて、ブログを1つ更新した。
ちょっといい気分である。
今のぼく、周りからどう見えているかなあー。
多少はドヤっている。
スーツにめがねの中年が、狭い車できゅうくつそうにパソコンをバカバカ打っているだけなのだが、なんというか、忙しそうで、充実しているように、見えないかなー。
鼻が少し伸びている。
新千歳空港、朝6時、外はマイナス17度。通る人などいない。車中を覗き込む人などいない。だからこそ、メンタルに優しい。
鼻歌である。FMに合わせてヒザがリズムをとる。
きっと、車も少しゆさゆさと揺れている。
こういうことを、まれにやりたくなる。バカにしてはいけない。夜の公園でひとりブランコに乗ったことがあるやつ、明け方4時ころにひとり車を飛ばして海を見に行ったやつ、観光道路を駆け上がって山の中腹からひとり夜景を見てしまったやつ、バーでロックグラスの中に指を入れてかき回してしまったやつ、みんな同罪である。おまえらとぼくは一緒だ。
誰かが見ていたら、フフンという顔はできない。そんな、こっ恥ずかしいことしない。誰も見ていなさそうだから、見ないふりをしてくれていそうだから、やるのだ。そういう、自分の立て方というのが、あるだろう。
ないとは言わせない。
早朝、病理医が毎日、なにかのカタキを打つように更新しているブログをちゃっと読んでから出勤・通学するようなやつらが、「こっち側」にいないはずがない。