土佐の高知のはりまや橋は、がっかりするぞと言われたが、
ぼくは以前にここにきたとき、仕掛け時計のあれをみた。
土産屋さんの前で待てよと、思わせぶりに友が言い、
橋の手前で日差しをあびて、行き交う親子を目で送る。
時報が鳴ったら意味がわかった、店員さんがはすに見た。
ちょっと小粋な楽しい曲が、小春の陽気にしみだした。
あるいはこれは作った記憶か、いやいやぼくは覚えているぞ、
響くはよさこい節だった。息子がきょとんと聞いていた。
からくり時計が開くと見せて、ちょっと裏切る楽しいしかけ、
時計の下に踊り子が出た、右に伸びるははりまや橋だ、
左に延びるは桂浜、誰もが知ってるたてがみの龍、
しずかに響く鐘の音。拍手をするはぼくばかり。
土佐の高知のはりまや橋で、おっさん時計が鳴るを見た。
高知に来るのはこれで3度目。
台風が近い。あすには帰る。
ホテルの窓から城を見ている。
いずれまた来る、晴れた日に。
わらでたたいた、カツオを食べる。