2021年4月15日木曜日

ふまじめだから星一つ

本を出すと必ず発売直後に買ってくれて、Amazonに星1つを付ける人がいる。おかげで毎回Amazonの評価はいつも1.0からスタートする。


内容はいつも同じで、SNSでふざけているから星1つだ、医者が仕事中にツイートしているのは問題だ、など、書籍と関係ない内容が半分くらい盛り込まれている。見かねた人びとによって削除申請がなされると、Amazon側もそれを理解してくれるようで、数日でレビューが消去される。しかし、また似たような名前の人が現れてすぐに星1つを付けて去っていく。いたちごっこでありそういうものだとあきらめている。とある作家が「あそこはもう見てません」と言っていたがさもありなんと思う。


その後、しばらくすると、時間をかけて本を読んでくださった方が評価を付けにやってきて、星4とか星5とかをくださるので、ある時期からは評価が平均されて3.0くらいに上がる。ただこれはおそらく、「星1があるからバランスをとってやろう」という気分と無縁ではないと思う。もとからそこに星1がなければ、あるいは星3くらいでいいかなと思っていた人も、発売直後についたろくに内容を読んでいない人の星1を目にすると、かわいそうだなと思って多少高評価ぎみにレビューを書いてくれるのではないか。


Amazonの評価はいつも乱高下する。いちいち気にしてもいられない。なにより、ぼくはもともと書店を応援するためにAmazonのリンクは貼らないことにしていたから、これまでは黙っていた。


でも、あるとき鴨が、「書店員さんも、Amazonの売れ行きやランキングを見て仕入れを決めているらしいよ」と教えてくれてから、そうか、Amazonのリンクを周知することが書店の役に立つなんてこともあるんだな、と思い、ここ1年くらいはAmazonリンクを貼るようにしている。


星1を見て「そうか、つまらん本なんだな」と思う人は少ないように思う。誰もが物事の裏側をめくってみたいから本のページをめくるのだ。レビューも、「これは仲良しごっこで付けてる星5だな」とか「これは単に著者へのいやがらせで星1なんだな」ということは、誰よりも読者のほうがよくわかっている。


だからAmazonの星なんて気にしなくていい。見る人は見る、読まない人は読まない。ただ、いつも、ぼくが好きで気に入っている本にはたまに300とか500といった数の星がついていて、それがうらやましいなと思うことはある。多くの人に届くよりも少数の人に深々と刺さりたい、そううそぶくことは簡単だ。しかし多くの人に深々と刺さるものが書けたらそれはけっこうすばらしいことだ、かもしれませんね、SAMURAI。