年度が替わるのでデスクの写真の配置換えをしている。額装された幡野さんの写真が2枚と、額装されたROROICHIさんのボールペン画が1枚。デスクのまわり、ぼくの目が行く3箇所に飾っていて、ときどき入れ替える。たったそれだけのことでデスクの色感が変わって見える。たとえば、自室の窓の場所を季節ごとに動かせたら楽しいだろうと思うのだが、それは現在の建築方式では不可能だ。一方で、額装した写真や絵というのは、これはもう窓のようなものであり、本物の窓よりも簡単に移動させられるし、本物の窓よりときには美しいものを映してくれる。ただそこに手を入れられない、風が吹き込んでこないということだけが不便であり不満だ。しかしよく考えるとたまに風を感じることはある。
幡野さんの写真からは風を感じることがある。ROROICHIさんの絵は無風だが時間がそよいでいるように感じる。
もうひとつくらい絵が欲しいな、と思いつつ、照林社の編集者から送られてきた鬼滅の刃や天気の子の絵はがきをべたべた貼っている。恵三朗先生から来た年賀状も飾っている。ちはやふるのカレンダーが一番大きいかもしれない。先日、総務課の職員(男性)がデスクにきたときに、ちはやふるカレンダーを見て目を輝かせていた。これらも結局は窓なのだと思う。病理のデスクには巨大な窓があるのだけれどブラインドによって太陽光はスキマから漏れ出てくる程度だ。それでも十分にデスクは明るく、しかし、ぼくはこの窓をときおり動かしてみたい衝動に駆られる。もう少し斜め上あたりに窓があったらどんなに素敵だろうと思う。それが叶わないかぎりぼくは写真や絵を飾り続けることになる。頚椎症がひどくてデスクに座ることに恐怖心が少しだけある。それでも絵や写真があるから疲れが癒えていく。よどんだ気持ちが窓を通じて外に逃げていく。換気が大事だという合い言葉は意外と人にいい影響を与えるかもしれないなと春を迎える札幌にて思う。冬は窓を開けるのは無理だ。そういえば幡野さんの写真の2枚中1枚は雪の写真である。この窓からは冷たい風がときおり流れ込んでくる。