2022年5月25日水曜日

病理の話(659) 病理医の虚栄

臨床医に気軽に頼ってもらい、信用してもらうためのテクニック・ノウハウ。



1.電話はすぐ取る。


2.「○○科の○○ですが」と言われたタイミングで「おつかれさまです~」と言う。


3.「今いいですか?」と言われたら「もちろんです~」と言う。


4.不機嫌な声を出さない。自分の疲れは相手とは関係ない。


5.相談者の用件を優先順位の1位にしてその場で取り組む(どうしても手が離せない案件があるときは1位タイにして同時に取り組む)。


6.メールでの相談はまず「引き受けたこと」をいったんメール(プレリミナリーお返事)する。そして案件が解決したら本格的にメール(本報告)する。


7.デスクの向こうでひょこっと顔だけ出してこちらの忙しさを確認するタイプの人には最上級に優しく接する。


8.足音を立てて近づいてくる人には威勢良く立ち上がって握手でもするかのように正対して接する。


9.目の前で何かを相談されたとき、パソコンでID検索をする際に、キーボードを強く叩かない。いつも以上に静かに、かつ素早くキータッチする。「ダダダダ!ダン!」は威圧的なのでだめ。「ロロロロ、サロッ」くらい優雅に入力する。


10.コンサルトの根拠を述べたあとは教科書や論文の該当ページを追って知らせる。


11.相手の質問の難易度が「超簡単」なときには、「基本的なことをきちんと確認してくださって本当にありがとう」とお歳暮を贈るときの笑顔で答える。


12.相手の質問の難易度が「超絶難しい」ときには、「このような取り組み甲斐のあるクリニカル・クエスチョンをいただいたからには全力で悩んでしっかり考えるぞ」と千秋楽優勝決定戦で推しの力士が立ち会いをするときの真剣な顔で答える。


13.ここが一番重要かもしれないのだが、自分と話す相手となるべく「同じテンション」でしゃべるようにする。注文するたびに「はい喜んで!」を付けるタイプの居酒屋が嫌いな人もいる。ゆっくりしゃべる人ならこちらも一語あたりのニュアンスを強くしゃべるようにする。手早く要点だけを知りたい人には短時間に重要な情報を叩き込む。楽しそうに質問してくる人には楽しそうに答える。物静かにたずねてくる人には落ち着いて答える。


14.感染対策のためできなくなったが、研修医がデスクに来たときにはアメを渡していた。


15.いつも勉強をして、臨床医の最新の質問に対応できるようにがんばる。