2016年11月10日木曜日

病は毛から

鼻の中で鼻毛が一本、変な方向に生えていた。

それでくしゃみがいっぱい出た。

くしゃみは鼻水を呼ぶ。気道のもっとも端にある鼻の穴から、異物を取り除こうとする反射は、くしゃみを起こし、同時に鼻水の分泌を増やす。

鼻水が出ると、一分は喉の奥に落ちる。すると、咳が出る。後鼻漏(こうびろう)と呼ばれる現象である。

くしゃみを連発し、咳も出ることになる。

くしゃみは、意外と体力を使う。気道の異物を吹き飛ばすために、横隔膜や腹筋などが急激に収縮するからだ。

何回もくしゃみをすると、だんだん、体が火照ってくる。

熱・くしゃみ・鼻水・咳が揃うことになる。

これは、一般に、風邪と呼ばれるものに似ている。

原因は、ウイルスではなく、鼻毛なのであるが。ただ一本、変な方向にたまたま曲がった、鼻毛のせいなのであるが。

外から見ると、風邪となかなか区別がつかないし、本人も、風邪をひいたときのように、つらいのだが、原因は、ウイルスではないし、本当は、風邪ではないのだが、本人は、風邪のようにつらいし、風邪かどうかは、ぶっちゃけ、くしゃみをしている最中は、どうでもよくなってしまうのだが。

 なお、これを「風邪」と診断したならば、ヤブイシャ、である。それが医者というものだ。


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たまたま医療っぽい話をしたけれど、実際。ときおり、こんな「鼻毛」みたいなことが、人生のあちこちに、転がっているなあ……と、思うことがある。

おだいじにどうぞ。