カメラ用品の中にほこりを吹き飛ばすフイゴみたいなのがあるが、最近あれを使って顕微鏡周りやキーボード周りのほこりをびゅんびゅん吹き飛ばしていたら、なんだかくしゃみが出る。
フイゴってすごい字を書くなあ。
鞴。
むかしのマンガで本屋さんがパタパタ棚にはたきをかけていた。
最近ああいうのは見なくなったように思うがどうなんだろうか。
はたきをかければそれだけほこりが飛ぶだろう、なぜあんなことをするんだろう、と子供心に不思議だった。
今ぼくがキーボードのほこりを吹き飛ばして目をこすっているのと何もかわらない。
「書店 はたき」で検索をしてみると、検索結果の上位にはずらりと、
「立ち読みしている客をはたきで追い払う本屋は実在するのか」
という疑問が並んでいた。
つまりはたきなんてものは今や迷惑行為なのである。
クイックルワイパーを使った方がほこりが舞わなくて便利だ。
冒頭に、カメラ用品のフイゴみたいなやつ、と書いたが、正式名称を思い出した。「ブロワー」だったと思う。ドラゴンボールに出てきそうな名前。
はたくからはたき。
ブローするからブロワー。
人間の基本的行動をちょっとだけ拡充するような道具には、たいてい直球過ぎる名称がついている。
教え授けるから教授。
病の理を診て断定する医者は病理診断医。
みんないっしょだ。
ぼくらはときに、ほこりをとばしてかえって空気を悪くしてしまう存在でもある。