2021年9月13日月曜日

ブルーウォーターって結局なんだったのか思い出せない

おいしいもの食べたい! おいしいもの食べたい!

高価で豪華なアブラを1回だけ使ってすごい熱量で短く揚げたテンプラが食べたい!

近くを通るだけで肌が切れるほど透き通った包丁で切られたことも気づかないまま切られた鮮度抜群の刺身が食べたい!

でもそれ以上にひたすら腹をすかせてすかせてもうだめだってタイミングでビッグマックにかぶりつきたい!

常夏のビアガーデンで腱鞘炎になりそうな重さのジョッキを180度に傾けてビールが飲みたい!


けどだめなんだ。胃液も腸液もやめとけって言う。ポリポリとアメをかじりながらぼくは思った。値段もタイミングも関係なく、もう、そういう食事がうまいと思える腹じゃねぇんだ。


スーパーに並ぶ刺身に割引のシールが貼られていないものを「鮮度がいいんだな」と好意的に解釈し、7きれしか入っていないカツオのたたきを「分厚いからだな」と手に取って帰り、冷蔵庫の缶ビールを冷凍庫に25分ほど入れている間にシャワーを浴びて、髪が乾く前にビールを飲んでカツオを食べると、7きれもいらなかったな、でもうまいな、これが最高だな、みたいな気持ちになっている。あとはもうビールもいらなくなって、庭でとれたミニトマトをつまんでいるうちにお腹がいっぱいになって、脳内に蛍の光が流れて目にシャッターが降りる。


なんとなくそういう低栄養、低カロリー、低空飛行の暮らしをしていて、でもときどき、便通が保てないという理由で多めに米を食ったりしている。妻が食事に気を遣ってくれていなかったら目の周りのクマはもっとひどいことになっていただろう。でもクマは栄養とは関係あるのだろうか。


エレクトロポレーションで肌の奥にビタミンCを届けます、とテレビで言っていて笑ってしまった。エレクトロポレーションってのは本来、「細胞の中」に物質を届けるための手法であったはずだ。「細胞が折り重なってできている表皮の向こう側」、すなわち「細胞の奥」に何かを届けるために使うものじゃなかったはずだ。リンゴを包丁で切ると中身がご覧になれますよね? ではこの包丁でリンゴ畑を切って見ましょう、隣の畑のおじさんの顔がよく見えますよ、というのと似ている。あるいは、ぼくが知っているかつての「エレクトロポレーション」と、最近美容業界で流行っている「エレクトロポレーション」とは別の現象なのかもしれない。紛らわしいことだが、そういう名付けがありえないとは思わない。


かつて、NHKでやっていたアニメ「ふしぎの海のナディア」の中に、「裏切りのエレクトラ」という表題があったのだが、それを見た僕が真っ先に思ったことは、


(エクストラさんだと思ってたけどエレクトラさんだったのか……)


であった。エレクトロポレーションももしかしたらエクストラポレーションとかなのかもしれない。安易な発言に気を付けようと思う(ググりはしない)。