モンゴル出張の翌日が札幌拡大内視鏡研究会で、ぼくはなんだかもうへとへとだった。
みんな楽しそうだ。顔がつやつやしている。
講演をお願いした先生は新潟から来てくださった。内心ぼくが一番移動してるなあと思いながらも、言った。
「先生、いつも遠いところありがとうございます。」
すると彼はにこにこと話すのだ。
ちょっと疲れたなあ、おととい、きのうと、鈴鹿と高知にいたんだよ、と。
……鈴鹿というのは四国だったろうか?
しばし彼の移動経路を聞く。そもそも新潟から鈴鹿までが行きにくい。電車とバスを駆使することになる。そして鈴鹿での仕事が終わったら翌日高知、これは大阪伊丹を経由したのだそうだ。
国内の移動に軽く六時間以上費やしている。
そして今日もまた札幌にいるわけだ。
なんていう体力だ。
彼は続けて、世話人のひとりと中国出張の話をしていた。中国の国内の飛行機はわりとあてにならないんで気をつけてください。モバイルWi-Fiは保険として一応お持ちになったほうが。
ぼくは半ばあきれていた。上には上がいる……というか、そもそもぼくは上でもなんでもないのだ。下から上を見上げているだけだ。サマーソルトキック待ちといえば戦略的だが、ぼくが繰り出すのはいつだって垂直ジャンプ強キックである。
ひどく飲んで家に帰った。たまっているリプライに返事しようかと思ったがやめて、歯を磨いて寝ることにした。久々に歯茎から血が出た。