これを書いているのは6月12日(水)の夜。とにかく今週はめっちゃくちゃに忙しい。参ってしまった。
まあ理由ははっきりしている。
軽い風邪をひいた。
軽い風邪だから、熱はない。朝起きたときにのどがちょっと腫れたくらい。
これで済むなら問題ないなあ、風邪だとも思えないくらいだな、と、最初は思った。
……ところが、とにかく、仕事の効率ががくんと下がってしまった。これは誤算だった。
脳のクロック数が落ちるタイプのかぜ、というのがあるんだ。Viremia(ウイルス血症)というのはまったく困ったものである。よりによって脳にくるとは。
人体内蔵ウイルスバスターがせっせとウイルスを退治する際に、脳内CPUの一部を使ったのだろうか?
一気にあちこちハングアップしてしまった。
まずはっきりと差が出たのはツイートだ(笑)。
思わずめったに使わない「(笑)」を使ってしまう。文字通りぼくは苦笑した。
だってぜんぜんツイートできないんだもの。今回の風邪、ほんとにまったく、脳が一大事だったのである。
ぼくは日ごろ、仕事の合間にツイートをしても仕事には悪影響を感じない。
でも風邪をひいていた2日間は違った。
ありていに言えば、気が散るんだね。
ほんとに気が爆散してしまう。
「仕事中にツイッターをするなんてとんでもない!」
まるでぼくじゃないみたいだ。
だるい体をひきずりながら、猛然と顕微鏡をみる。診断を書く。この間ツイッターなし!
夏から秋にかけての臨床画像・病理対比のプレゼンをつくったり、新作学術講演のプレゼンを仕上げたり、原稿を書いたりする。この間ツイッターなし!!
信じられない。お前にせものじゃないのか。
ぼくの集中力は元来、そこまで長時間続かない。
海女さんが息継ぎをするように、定期的に海面に浮上するかのごとくツイートをして、また深海にもぐっていく、そういう働き方が一番ぼくに合っている。これは15年はたらいてぼくが見つけた最適解だ。
しかし、風邪をひいたぼくは、全く息継ぎをしないままに次々と仕事を仕上げていく……。
あれ? もしかしてぼく、風邪ひいてるくらいの方が有能なのか?
そんなわけないのである。交感神経がフルスロットルで応援してくれていたとかそんなところだろう。夕方になるとげっそりと疲れて口もきけなくなった。
やれやれ……一日を振り返ってみると、
「あんなに働いていたはずなのに、いつもほど仕事が進んでいない」
のだ。頭を抱えてしまった。抱えついでに、少しだけ頭痛もある。
やめだやめだ。さっさとおうちに帰ってビールを飲んで寝た。
さて、今日。水曜日。おかげで風邪は治ったが、2日間かけて、ツイッターもせずに必死で働いたくせに、全く仕事が終わっていない状態を作り上げてしまったことをふりかえり、ぼくはしみじみ思う。
「必死で働いたってだめだ。」
「ツイッターやりながら働けるくらいに脳を整えておくことこそが、一番大切だ。」
これは別に逆説でもなければニセ医学でもない。
いたってまじめに言っている。
人間にはそれぞれ、一番体にあった息継ぎの方法というのがある。それをぼくは今さら確認したにすぎないのだ。
ぼくからツイッターを奪うな。仕事が進まなくなるぞ。