たとえば、病理の話(268)というのはたかだか1200字程度しかない。原稿用紙3枚分、というやつだ。
へえ、たったそれだけなんだな、と少し驚いた。
こないだ頼まれた、医学書の書評もだいたい1200字程度だった。紙面に載った自分の文章をみると、少ないなーと思うくらいの量。いろんな人が書評を載せて、「寄せ集め」になっていることで楽しさと猥雑さが出る。1200字というのはつまりそれくらいのボリュームなのだな、とぼくはざっくり理解した。
ブログ的なレイアウトだと、余白が多くてだいぶだらだらと引き延ばされているんだ。もう少しいっぱいナニゴトかを書いていたつもりだったけど、そうでもなかった。
あるウェブライターに、「読者が喜ぶ文字数」の話を聞いたことがある。記事の内容にもよるのだけれど、彼が扱っているジャンルにおいては、「理想的なウェブ記事の文字数は3000~4000字くらい」だと言っていた。これより長いと読者が読んでくれない。これより短いと記事としての体裁が保てないし、文字数いくらで収入が変わる場合には商売にならなくなるという。まあもちろんそこはいろいろあるだろう。
いろんな人が興味を持つ話題とみえる。ためしに、「原稿用紙 枚分」で検索してみると、似たようなタイトルの記事がいっぱい出てきた。
ごく平均的な、200ページくらいの文庫本は、原稿用紙300枚分だという。原稿用紙1枚が400字だから、120000字か。短編小説だと100枚分(40000字)、長編だと300~600枚(120000~240000字)あたりが相場のようだ。
これらの情報はいわゆる知恵袋的な質問サイトの記事による。信憑性には疑問が残るがそこまで正確な数字を知りたいわけでもないのでまあいい。ゆるく雰囲気がわかればいいのだ。そもそもぼくは、原稿用紙なんて小学校の読書感想文以降で使った記憶がないから、「原稿用紙〇枚分」といわれてもピンとこない。手書きで数千字の原稿を書いた覚えもない。Wordの文字カウントのほうが身近であり、なんでも文字数でイメージしている。
先日書き終えた本はエッセイ仕立てだ。ただ内容的には、随筆とか随想というほど「随意」には書けなかった。不随想である。編集者と頭を悩ませながら、これがいいかこれだとまずいかと、だいぶ右往左往したが、ようやく一段落した。
脱稿した原稿をまとめて文字数カウントにぶちこんだらちょうど120000字くらいであった。企画が届いたのが10月2日、書き終えたのが11月30日なので、だいたい2か月で120000字書いたことになる。もっとも、5000字くらいずつ小分けにして書いたので、120000字を一気に書き上げたという実感はない。小説の120000字とはわけが違う。小説家というのはすごい。創作でこれだけのボリュームを書きあげる能力を想像するとすなおに「化け物だなあ」という感想が出る。
なお、「5000字のユニットをいっぱい集めて1冊にする」というやり方は、決して楽ではなかった。5000字くらいなら楽勝かと思っていたがまったくそんなことはない。これだけ書けばいいだろう、と思ってWordの左下にちらりと目をやると、まだ2400字とか3100字くらいにしかなっていない、ということが頻繁にあった。
やれやれスクロールバー的にも今日のブログはこれくらいでよいだろう。文字数をカウントしてみるとちょうど1200字くらいだった。ぼくが肩ひじ張らずに主張するサイズが1200字ということなんだろうなあ。