職場においてある歯ブラシはピンク、歯ブラシを立ててあるマグカップは赤である。
「なんとなく、女の子っぽいカラーリングにしてみた。」
ぼくは未だに心のどこかにこういう感覚がある。古い人間だ。
けど色をこうした理由は特にない。強いていえば、病院1階のローソンで売っていた最前列の商品をてきとうに手にとったらこの色だった。
歯ブラシを青とか緑にして、マグカップも濃紺とか黒とかにしておけば、デスクはシックな感じにまとまったかもしれない。
……実をいうと、ぼくは「雑然さ」を基調としたデスクづくりをしている。
モニタの高さは「アフタヌーン」で調整。
PCの横には全国各地で集めてきたナゾのストラップ。
付箋だらけ。
でもこれはすべて計算なのである。
「目に飛び込んでくるものたちがいつも落ち着かない状態」の中で仕事をする。
少し動悸が強まる気がする。
ざわざわとする。
雑沓、雑音、雑感が押し寄せてくる。
混沌の中で瞬間的に自分が凪ぐために、どうしたらいいかを必死で考えることが、いい仕事を生むのだ。
以上が、たった今デスクを見回したぼくの、うそいつわりである。
いつのまにかこうなっただけだ。
計算とかない。
能動とかない。
なるようになったらこうだった。中動態である。
でもまあ、気に入ってはいるんです。理由を後付けしようと思ったらいくらでも書ける、というだけでね。
少しずつ、家の中のものを職場に持ちこんだ。本、CD、Nintendo 3DS、クッション、チョコレート。ぜんぶ職場にある。
そしたら、家では寝る以外に何もしなくなった。
人には、「断捨離。シンプル。無印良品。家にはものを置かない派。副交感神経をだらんだらんに発火させるためのミニマムライフだから。」と説明している。
これもうそいつわりである。実際これらの反対の状態に今ぼくは、いる。