2023年3月8日水曜日

季節の変わり目に

職場を出たら外気温が0度だという。あたたかくなった。風もない。春だ。手袋がいらないのでスマホをいじりながら歩く。イヤホンを耳に入れて電源を入れるのもこれこの通り、外でできてしまう。春だ。イヤホンを耳に刺すのもradikoをチューンするのも素手だからこそいとも容易くできる。春だ。昼間に地面が少し溶けて、これから朝にかけてまた凍るのだろうが、今のところはまだ靴底のグリップがしっかり噛む。春だ。

多少の粉雪が舞ってもレミオロメンを呪わなくて済む。嘘だ。コロナは滅んだという。嘘だ。 20代の人たちと一切会話が弾まなくなった。向こうがおもしろくなさそうな顔をしているのがよくわかる。なぜならぼくが全くおもしろくないからだ。嘘だ。粉雪をエンタメにしやがったバンドを許さないしマスクは外せないしぼくは若い人の話をおもしろいと思っているのに向こうはそう感じていない。春だ。

ずっと雪かきをしているような日々であった。あらゆる仕事がしんしんと降り積もり、その多くは時が経てばあるいは底のほうに堆積したり、逆に溶けてなくなったりするのだけれど、それを毎日こまめに、まじめに端によけ続ける。ある程度計算をして、効率を考えて、明日の雪かきで雪を放る場所をつぶしすぎないように、今日この脇道を通る人の足元が少しでも安全であるように。春が来ると雪かきは終わる。少し間をおいて、今度は草むしりの日々が始まるのだ。それが春だ。