2018年の11月末から、2019年の5月末までの半年間、三省堂書店池袋本店にて合計125冊の「病理医ヤンデルが選んだおすすめ本」を陳列してもらった。これが爆裂に売れた。
そしたらその後立て続けに、名古屋で2か月、札幌で1か月、神保町本店で1か月半、それぞれフェアを開催することになった。置いた本の数はそれぞれバラバラだったが基本的には池袋で選んだ本を置いた。ただし神保町のフェアでは、この1年に発売された新刊を4冊ほど追加をした。幡野さんや西さん、國松さんの本である。これらは本当によく売れたそうだ。さすが。
すべてのフェアが2019年10月に終わり、やれやれと思ったのもつかのま……。実は2019年の12月からまたフェアがはじまる。まだ正式告知されてないけど、言ってもいいだろう(ぼくはしばしばこうしてフライングをして怒られる)。
ヨンデル選書フェア 2ndシーズン。
今回もまた前回と同じくらいの本を選ぶことになる。まずは最初の1か月に、前回フェアで選んだ中から特選した30冊+新しく読んだ本の中からぐっとくるおすすめを20冊。
そしてそこからさらに、1か月ごとに、20冊くらいずつ追加をするのだ。最終的には今回も、半年間で100冊以上の本を順次ご紹介していくことになるだろう。
最初の月からすべての本を並べない理由はいくつかあるのだが、ぼくとしては、1か月ごとに1冊ずつ本を買い足したい人のためのフェアを目指している。先月並んでいた本のどれかを買った人が、しばらくして再訪してみたら自分が買った本のとなりにおもしろそうな本が加わっている、というのがやりたいのである。
やっていることはAmazonの「この本を読んだ人はこんな本も読んでいます」なのだ。つまりは日頃からおおくの書店員が棚を作る際にやっていることと一緒である。ぼくは選書フェアに関わることで本当に書店員の仕事を尊敬するようになった。本を選んで並べ続けるって終わりがないんだよな。
ただ実は問題もある。去年のフェアに並べた本125冊は、ぼくが20年以上本を読んできた上で、直近の3年~5年くらいの本からおすすめをえらんだわけだが、今年のフェアはせいぜいこの1年で読み足した本の中からコアを選ばないといけない。そんなに本読んでたかな、ぼくは……。
で、しらべてみると、結構読んでいるのだった。少なくとも年間200は読んでいる。ただしその中でオススメできる本がそこまで多くない。当たり前だがハズレの本もあるのだ。ハズレというのは内容がつまらないという意味ではなくて、「ぼくは楽しいけどこれ他の人はつまらないんじゃないかな」みたいな本も含む。「ぼくは楽しいけどこれ他の人はつまらないんじゃないかなって思うのはおこがましいからやっぱり並べてみようかな」という本も含む。「ぼくは楽しくないけどこれ他の人はすごい楽しいかもしれないな」という本もあるわけだ。これらをいちいち吟味するのは骨が折れる。
本を紹介しようと思ったら再読しないと「書評」が書けない。ぼくはこのフェアで、本1冊につき1枚の「短評カード」を添えてもらっている。350字以内でおすすめ文章を書いている。これを書くのがまたえらい時間がかかる。楽しい時間ではある。そもそもカードを本すべてに1つずつ封入している書店員の働きなくして、このフェアは成り立っていないのだから、ぼくがそれくらい苦労しなくてどうするのだ、という気持ちもある。なんにせよありがたい。みんなも本屋を楽しんでほしい。ぼくは本が楽しくてしょうがないぞ。