家の後ろにある小さな小さな、横に細い感じの畑を耕して、石灰を捲き、その1週間後には堆肥も混ぜ込んだ。そして今週(この記事を書いている週)に、はよいよ苗を植えよう……と思っていたのだが、スーッと気温が下がってしまったので延期にした。
以前、春の陽気にあわせて苗を植えたはいいが、その後1週間以上にわたって気温が10度台前半となってしまって苗が死んでしまったことがある。それ以来すこし慎重になっている。トマトもキュウリもそんなに急がなくてもきちんと育つ。来週末でよいだろう。
そう思って週間天気を見たら、今週は平日がやけに暖かい日が続き、土日はまたストンと寒くなるようだ。なかなか苗を植える機会は来なさそうだ。まあ、6月に入ってからでいいかもしれない。
畑の仕事がないと週末にやることは読書かジムでのランニングだ。しかしゼルダの新作が出たので一部の本以外の予定をすべて消去してゼルダに回す。活字摂取も運動も不足するのだがかえって健康になる。やりたいゲームが出るとそういう生活が半年くらい続く。
ただ、今回は1年続くかもしれない。学会・研究会や講演の仕事がけっこうな勢いでZoomから現地開催に切り替わったからだ。Zoom開催ならば、移動や宿泊の手間がなかったのでその分をゼルダに回せたけれど、現地開催だとなかなかそうはいかない。ぼくは移動中にはゲームをしない。特にゼルダはできない。先日、地面から生えてきた手の魔物を爆弾矢でプチプチ倒したら「アレ」に変化して、めちゃくちゃ大きい声で驚いてしまった。そういうのを公共交通機関の中でやってはいけない。二周目ならやれるかもしれない。
先輩ドクターたちはよく、飛行機の中で論文の手直しなどをしていて、あれは偉いなあと思い、一時期は真似をしようとした。でもなんかうまくいかなかった。論文だけではなく、講演用パワポの準備なども無理だ。職場以外だとうまく仕事ができない。かつては、「顕微鏡が職場にしかないから」かなと思っていたけれど、どうやらそういうことでもないらしい。脳が場所と紐付いて運用モードを勝手に切り替えてしまう、みたいな感じである。
場所、時間帯、用いているデバイスなど、さまざまなものが脳と紐付いて、無意識の部分、バックグラウンドの部分で下準備をすすめる。軽くて高性能のPCを持ち歩けばスタバでも働けるでしょうと言われても、たぶんそれはぼくには無理だろうなとわかる。バーチャルスライドスキャナによってプレパラートをデジタル化しておけば自宅でも病理診断ができる未来が来ますと言われて、VPNの設定以前に、ぼくは自宅で仕事なんかしたくないという気持ちが強い。Wordひとつで事足りるはずの依頼原稿すら家では書けない。
このブログはたまに出張先のホテルで書くことがあるけれど、あとで読み直すとだいたい「ホテルにいる」ということしか書いていない。職場のデスクで早朝に書くのが一番安定している。
ところでぼくの脳は、職場でゼルダをできるのだろうか。ちょっと興味がある。始業前、終業後、誰もスタッフのいなくなった病理検査室で試しにゼルダをやってみたとして、それでぼくの脳はいつものようにリンクの冒険に感動できるのだろうか。