みんな気を遣って「大丈夫、そこはたいした問題じゃないから」「気にしなくていい、こっちをしっかり教えてくれれば」と言ってくれるし、実際、このひとつのミスで誰かが実害を被ることもなくて、つまりはまあ、「OKOK! 次、気を付けよう!」くらいで先に進めばいいって、わかってはいるんだけど、それはもうまったくそうなんだけど、がっくりと落ち込む(ぼくの心の中に占めるウェイト的には)重大なミスをした直後にこのブログを書いています。
ミスした直後にブログ!? 何を考えているんだ! まじめに働き珠恵! とお怒りの方は……こんなところにはこないと思うが……あと珠恵って誰……逆である。自分にとって決定的なミスなので、メンタルがズタボロになっており、こんな状態でルーティンの仕事なんてとてもできそうにないから、手の甲に脳をのっけてひたすらキータッチしつつ精神をクーリングダウンしているのである。
ミスの構造的な原因を言語化していく。
いつもはこういう流れで取り組んでいる仕事を、今回はたまたま特殊な案件が重なって、違うやりかたでいつもより綿密に取り組んだために、かえっていつも機械的に、もしくは半分自動的にやっているタスクの部分をごっそりやり忘れた。ではこのミスを次からなくすためにはどうするか? 指さし確認、声に出しての確認、仕事を系統立てて、感覚だけでぶんまわさずに、いつも同じ手順に立ち戻ることで抜けや落ちを防止する。
ヒューマンエラーというのは必ず起こりうる。抜け落ちやすい人間の心理をシステムでカヴァーすることが、組織で働く際のキーポイントだ。わかっている。わかってはいる。その上で、声帯から吐息をもらさずに気管にバイパスした4次元空間に吐息を逃がすことで無声のまま叫ぶのである。
「ウワァー俺がもっとしっかりしていればァー!!!」
声帯を震わせない吐息は4次元空間にぽつねんと置かれた音叉を震わせる。音叉は足下がぼくの脳に繋がっていて、脳がいつまでもブルブルと小刻みにしびれているような感覚になる。職場の周りの人たちはひたすらぼくのため息を聞いているかもしれないが、そのため息、本来であれば声帯を震わせて絶叫になっていたはずのものなのだ、4次元バイパスこれだけ静かになったというbefore afterを写真に撮って病理学会の特別シンポジウムで会場に供覧したい。
だいぶ落ち着いてきたのでまた仕事に戻ります。言語化、文章化、ルーティン化、一見つまんなく見えるこれらにぼくはずっと助けられてきて、でもときどき飛び出て新しいことをしようとする、そういう「欲が出た瞬間」こそはミスが起こりやすい瞬間でもあるということだ。チッキショー