胸回りに脂肪がついたためだろう、これまでちょうどよかったはずのワイシャツの、肩の辺りが少しだけきつくなったけれどそれはまだ許せる。しかし問題はむしろ腕丈のほうだ。肩からうしろに布がひっぱられているようで、丈が少しだけ短くなってしまった。ぜんぶ同じサイズで買いそろえているのでどのワイシャツも一様に短い。スーツの袖口からワイシャツが、あまり長く出てくるのも興ざめだが、短すぎるのもどうかと思う。いや、正確には、「短すぎるというほどではないのだがちょっとだけ短い」みたいな感じだ。買い換えるかどうするか、ちょっと微妙なラインではある。
昔イオンに入っていて、今はもっぱらネットで注文しているワイシャツの店があって、さほど高くない上に洗濯に強くてバリエーションも豊富なので便利に使っているのだが、「ちょっと太ったボタン」みたいなものは見当たらなかった。ぼくは胸回りが少しだけきつくなって袖丈が2 cmくらい短くなったわけだが、ではどのサイズを選べばいいのかと、いろいろ見て調べてググってようやくほどよいサイズを見つけた。以前に設定していたマイサイズのひとつ上だった。こういうのが一瞬でスッとわかるのがAI時代なんじゃないのか。時代の恩恵が末端まで届いていないことを実感する。
ロサンゼルスオリンピックの開会式で飛んだという「ロケットベルト」、ぼくは生では見ていないのだが、きっとあれをリアルタイムで目撃していたら、すげー、これいつかぼくも使えるようになんのかな! と未来にすごく期待したと思う。しかしもちろんあんな危ない装置が一般に普及することはなく、中学校一年生のときにスーパーファミコンの「パイロットウイングス」でロケットベルトの操作がめちゃくちゃうまくなった以外には人生のなかであのような装置と携わることはなかった。あの技術は今何に応用されたのだろう。ぼくの知らないところで世界が進歩して、ぼくは今日もまた一つの技術に置いていかれてさみしい思いをする。バーチャルスライドスキャナっていつ当院に入るの? 自動運転の車っていつごろ乗れるようになるの?