今までやってきた仕事や遊びの中で少しずつ見えてきた自分のキャラクタ性というものがある。端的にいうとぼくはメインよりサブが向いているということ。主役より引き立て役が似合うということ。ぼくの天職は触媒ではないかな。そこにいることで周りの仕事が早く正確になる。
だから声をかけられたときになるほどなと思った。ぼくはこれからあるネットラジオを手伝うことになるのだが、今回の企画の中心人物はぼくではない。重要な人間がほかにいて、ぼくに仕事を与えた。その仕事内容を聴いて、非常に納得した。今回のぼくの役割はまさに触媒だったからだ。
なお、誤解をおそれずに書くが、ぼくが求められている役割は実は純粋な触媒ではない。冷静に先を読むと、ぼくにも化学反応が及ぶことになる。触媒でありながら消費される因子ともなる。これはなぜかというと、おそらくだが、今回ぼくに声をかけた「主役」もまた触媒としての高い能力をもっているからだ。ぼくの本来の性質は触媒なのだが、同等以上に強い触媒能力を持った彼の力によっておそらくぼくにも化学反応が及ぶ。その逆もまたしかりである。
企画段階で、安住アナウンサーのやっているラジオがおもしろいから一度聴いておけといわれた。ぼくは安住アナのやっているラジオを聴いたことがないのだが、聴こうと思えばすぐ聴ける。こないだ、燃え殻さんのラジオを北海道で聴くために、radikoに課金してタイムフリー視聴ができるようになったからだ。ぼくはもういつでも、安住アナの番組を聴くことができる。そろそろ聴いておこう。
ラジオというのはテレビと異なり、「視聴者の脳内に浮かぶカメラワーク」を語り手自体がかなりコントロールしなければいけない。何が映っている、何を映してほしい、何をクローズアップしたい、何に目を凝らしてほしい、というのをすべて話術でコントロールする必要がある。
ぼくは今までツイキャスでは基本的に、NHKのドクターGをみながらそれについて語るという「NHKにディレクションをまかせた進行」をしたり、ハリソン内科学を読みながらそれについて語るという「ハリソンにディレクションをまかせた進行」をしたり、ゲストの相手に話を聴くことで何かを浮き上がらせるという「対談相手にディレクションをまかせた進行」をしたり、そういうことしかできないでいた。だから昨今じわじわと盛り上がってきた「ネットラジオのひそかなブーム」には、自分ではうまくのれないだろうなという思いで、遠くからVtuberのやることをじっと眺めていた。
けれども今回ぼくにタスクを与えた相手はそのあたりをよくわかっている。彼は、ぼくの「引き立て役」としての職場威力、「対談相手」としての素材力を使いたいのだと思う。ぼくはその手にまんまとのる。
ライフサイエンスの話をするかもしれないし、エンタメの話が出るかもしれないが、今回はぼくは一切ディレクションを自分でやらないと決めている。ただひたすらに触媒を演じながら因子として消費されていく道をえらぶ。