地方局の作成したドラマ「チャンネルはそのまま!」を見てからというもの、民放が作成するローカルニュースみたいなもののあたたかさが気になってしょうがない。
20代の頃は歯牙にもかけなかった気がするけれど。
40を越えた今。
「近隣に住んでいるかもしれない人」がテレビでほがらかにしているのを見ると、必要以上に安心してしまう。
もうあと数年もすると涙ぐんでしまうかもしれない。涙ぐむだろう。今もすでにあぶない。
まったく、ぼくの精神はいろいろと弱くなった。
いつのまにかぼくは。
人々のさみしさや孤独を蓄積して、パターンを覚えてしまっている。
「こういう表情の人が、こんなしゃべりかたをするときは、こんな大変なことがあって、こんなつらいことを乗り越えて、それでもなんか前を向いてがんばろうとしているんだよなあ」
みたいに、人がただぼうっとしていたり、何気なく語ったりしているシーンを見ても、勝手に連想がつながるようになった。
想像力、イマジネーションは、経験によって伸びる部分がある。
経験によって増強・補完される「勘」は、人を弱くする。きっと。
そろそろ、「弱くなってしまった人にしかできないこと」をやるフェーズに入っているのかもしれない。
ローカルニュースで札幌市の円山動物園に訪れている親子がインタビューされていた。
母親にだっこされた子供が、母親がインタビューされている最中ずっと、カメラを気にせずに、カメラの後方で歩いているのであろう動物を指さして、
「ゾウだ! ゾウ! ゾウだよ!」
と言い続けているのだ。ぼくはそれを見ていた。
もうほんとに号泣するかと思った。なんの連想なのかはもはやよくわからないのである。