「近頃の若者はスマホを通じて世界とつながっていると言いながら、現実世界での人間関係が希薄になっている、コミュニケーションに問題がある」
という内容のことをおっしゃった人に、
「つまりあなたは今時の若者とうまくコミュニケーションをとれない、ということですね」
とたずねてみたら、
「そう、私は今時の……」
と、そのへんで、黙ってしまった。
「近頃の若者はコミュニケーションがへただ」という人ががんばってコミュニケーション上手になれば、近頃の若者ともコミュニケーションはとれる。
明石家さんまは10代、20代の若者がゲストインしても普通に番組を回せるだろう。
むろん明石家さんまとゲストとが本当の意味で友達になっているわけではないが、少なくとも仕事として多くの人々の役に立つ文脈で、コミュニケーションをとることはできるし、それはおそらく9割がた明石家さんまの能力によるものだ。
「近頃のマンガがつまらない」という人の話はたいていあまりおもしろくない。
これは、「近頃のマンガはつまらない」という人が、近頃のマンガに対しておもしろさを見つけられるほどの感性を欠いているからである。ただ、もっといえば、
「近頃のマンガに対しておもしろさを見つけられるほどの感性を欠いている人とおもしろく話す能力」をぼくが欠いているからだ、と考えることができる。
だいたいの話が自分にかえってくる。ぼくは、「近頃の若者とうまくコミュニケーションがとれない人」とコミュニケーションするのがへたくそな人間なのではないだろうか?