できた。教科書ができた。第3校を戻し終わって、あとは編集部で整えてもらえば完成である。
ほんとうに細かくお手入れしてもらった。多数の校閲、校正をお願いした。よかったよかった。これは自信作である。そのうち金芳堂から出ます。
さっきまでその教科書の「索引項目拾い」をやっていた。今回の教科書は通読できるタイプの本なのだけれど、担当編集の方が
「この本には索引が似合うと思います。」
と言い、ぼくも全くその通りだと思った。だからがんばって項目を拾った。
複数のページで言及した言葉はいやでも目に入る。
「病理」(※病理の教科書なのだからあたりまえである)、
「言語化」(※これが本書のキモだ。索引には抽出しなかった)、
そして「くり返し」と「積み重ね」である。
「くり返し」と「積み重ね」が、くり返し出てくるような本を書きたかった。なぜならば、診断とはまさにくり返しだからである。
たった一度の検査でシロだクロだと言わない。
黙って座ればぴたりと当たる、みたいな診断はしない。
そこにがん細胞が見えたからがんです、だけで診断という行為は終わらない。
病理医は臨床医とバトンを互いに受け渡ししながら、診断という行為を何度も何度もくり返す。一人の患者に対して、あるいは、複数の患者に対して、同じ事を、あるいは違うことを、くり返し、積み重ねていく。
そうやって確度を高めていくのだ、ということを一冊使って書きたかった。
今回の本は完全に医学生向けであり、いちおう初期研修医は読めるし、後期研修医もまあまあ読める。指導医クラスになるとちょっとつらいかもしれない。病理医は全員読めるだろう。読もうと思うかどうかはともかくとして。
なぜこの順番なのかは「序章」に記しておいた。端的に言うと、この中では医学生が一番頭がいいからだ。いや、別にこれは、煽りとかおべっかなどではなくて、ぼくの意図の範囲においては、事実である。そのあたりは今日は書かないことにする。
思えばこのブログでも同じ事を何度も何度もくり返し記載して、積み重ねばかりしている。
そういうことなんだよな、と思う。