と美女が言うのだ。やめろ、と思った。会って2秒でウンコの話をするな。
しかし美女はさらに言う。
「でもこういう話をそこらへんに歩いている男性にするくらいだったら医者であるあなたにするほうがまだマシでしょう。しかもこれはけっこう真剣な問題だよ」
うるさい、かんべんしてくれ、するなら俺以外の医者にしてくれ。このクリニカル・セッティング(場)は俺に効く。
「たとえばこれは企業にとっては商売のチャンスだと思う。私みたいに見目麗しくて、昔のアイドル風に言うならウンコなんかしなさそうな人間が、人間ドックの1日前とか2日前に、体をわざわざ前後左右にずらしたりして、あるいはトイレットペーパーで台座を作るなどして、自分の便が水洗トイレの中に水没してしまわないよう、検便ブラシの先が届く範囲に収まるようにウンコ調整をしているなんて、これはちょっとしたストレスだと思うわけ」
ひどいストレスだ。でもまったくおっしゃる通りではある。
「だったら小林製薬あたりが『ブラシ届かない! そんなとき』って商品を出したら一定の商機はあると思うのよ」
小林製薬に深刻な風評被害だ。
「こういう細かなトラブル、些細なストレス、そういったものに対応する商品を小口で販売することが可能になったのも、ネットビジネス時代のいい側面でしょう。わかる?」
わかる。すごいわかる。その顔で言わないでくれ。橋本環奈と間違えられたことがあるって言ってたじゃないか。似てはいないけど。おまけに橋本環奈なら言いそうだけど。
「だからあなたのツイッターをうまく使って私の来年の検便までになんとかしてよ」
以上がフィクションだったら、まだマシだった。ほとんど原文そのままである。なおこの知人にいちおう記事のチェックをしてもらった。
「石原さとみ」のくだりを「橋本環奈」に変えろと言われたのでその通りに変えた。