前はもっと起動が速かった。しかし、だんだんもっさりしてきた。パワポを開くのも気持ち遅い。パワポを進めるにもねばっこい抵抗を感じる。
Windows updateをくり返したせいだろう。時間が経つとどうしても遅くなる。
「何もしなくても壊れた」というのは幻想かと思っていたが、実際、何もしなくても壊れる家電なのかもしれない、PCというものは。
ここ2年半ほど出張が激減しており、出張用PCもあまり使っていなかった。ひさびさに出先で講演をすると、てきめんに「遅い」と感じる。
じわりじわりと遅くなっていったら気づかなかったかもしれない。
へたに2年半あいだをあけたから、遅さに気づいてしまった。
先日のケアネットライブに出演したところ、ひさびさに動くぼくを見たという知人から、くちぐちに、「丸くなったね」「太ったね」と言われた。
じわりじわりと丸くなっていたから自分では気づいていない。へたに間をあけるから気づかなくてよいことに気づく。
三食の米を少し減らす。ついでに塩分も減らす。運動をはじめる。
無駄な抵抗によって体をアップデート。そのぶん、メモリが圧迫され、体が引き締まるより先に、思考がもっさりとしはじめる。
アップデートをくり返すことでだんだん行動が遅くなっていくという現象を、日々じわじわと実感する。ゲームボーイがNintendo DSになり、3DSになったころ、ネットに接続しないと最新のゲームができない環境を少し残念に思った。ゲームボーイはいつまでもモノクロのままだが、何年経っても同じゲームを何度でもやることができるからいいなあと、確かに思った。確かに思ったはずなのに、もう、ぼくの手元にゲームボーイはない。アップデートしてもしなくても時間が経てば使われなくなっていく、ならば、ゆるゆると、気づかれないうちに、もっさりしていくほうを選ぶ。将来的に人類はみずからを機種変更するのだろうか。データ移行の際にパスワードをなくしたりしないだろうか。