2023年4月24日月曜日

必死でやってる人たちのために

チェックアウトの時間が正午であった。助かる。今日は午後のイベントに顔を出し、夜の飛行機で札幌に帰る予定で、午前中はなにもせずに休むことにした。とりあえず下のコンビニでジャンプを買ってくる。いったん履いたスラックスをあらためて脱いでベッドに横になる。呪術の設定が初見で頭に入ってくる人ってどれくらいいるんだろう。


病理学会で下関、そこから東京に移動して日本医学会総会の博覧会。土日を挟んでの4泊5日、こんなに職場を空けたのは主任部長になって以来はじめてのことだ。ウェブで確認できないアドレスのメールがおそらく溜まっているだろう。明日のことは明日考える。今は黙ってジャンプを読む。昨日買ってきたオーザックが口内炎を刺す。


医学会総会の広報を手伝ってくれたドクターの一人はこう言った。「医者たちが必死でやってるのを見ていると、なんとか助けてやらないとな、って思うんですよ」。見返りのない利他の理由をたずねると、「どうせ我々医者なんてものは、ひとりじゃ何もできない。もっとしんどい働き方をしている他科の医者、メディカルスタッフ、そういう人たちがおぜん立てした場所でかろうじて働かせてもらっているだけなわけです。そんな自分に対して引け目みたいなものが常にある。そして誰かが困っていそうだったらそこを助けにいく」


自分が「あっ、今、感じ入ったな、俺」と思ったとき、心がけていることがある。相手のセリフに応答する自分のセリフをなるべく減らすということ。勝手に要約しない。会話の流れを自分中心にしない。感動したならひたすら受け止める。NHKのインタビューがそういう形式になっていることが多い。相手が何かをしゃべったあと、アナウンサーやインタビュアーはうなずくばかりでコメントをつけ足さない。民放ではこういうやり方はまず見ない。インタビュー企画の場合、最後は必ず見目麗しいアナウンサーや視聴率を持っている芸人が一言よけいなことを言ってそのコーナーが終わるようになっている。ぼくはあれがうっすら下品だと感じるようになっている。


今回の宿は秋葉原にとった。昼飯を食おうと検索すると「昭和食堂」というのが出てきて、まあ近いからここでいいかと向かってみると店の外に行列ができている。並んでまで食おうと思わずきびすを返し、ホテルに戻る道すがら、居酒屋のランチ営業の看板を見つけてそこに入る。すぐに入れる。生姜焼き定食をご飯少なめで。野菜がだいぶたくさん盛られている。マヨネーズ要りませんと言っておけばよかったなと少し思う。あっという間に食う。居酒屋のランチが結局のところ安牌なんだよなという思いを新たにする。ホテルに戻ったらチェックアウトの時間を少し過ぎていた。従業員に詫びながらトランクを引く。これから信頼できる仲間たちが運営するイベント。マルキューブのオープンステージには俳優の宮地真緒さんが登壇する。ウィズニュースの水野編集長とNHKのフジマッツ。医者ふたり。それを見届けてから札幌に帰る。このイベントを単発で終わらせないためにはどうしたらいいかと頭をひねる。必死でやってくれている人たちのために何かできないだろうかということを意識してずっと考えていく。