北海道にエスポラーダ北海道というフットサルチームがあり、Fリーグというのに加盟していて、全国で試合をしている。今季は最下位なのだが、地元北海道出身の選手がたくさん所属しており、ひそかに応援している。
先日、札幌市豊平公園のきたえーる(数年前にはやったダサいネーミングの体育会場)に、試合を見に行った。この日はけっこう集客がうまくいったと見えて会場は2階席がほぼ満席、3階席にもかなり人が入っていてぜんぶで3500人くらいいたらしい。会場MCの人がなんか感動しているのがよかった。試合は6-1で勝利、今季これで2勝1分9敗である。
えっ、バカ勝ちしてんじゃん、というかんじだが、フットサルの場合、じつはこのような点差の試合はしばしば起こりうる。たとえば後半に3点ほど点差が開くと、負けているほうのキーパーが攻撃参加し、「いちかばちか」の総攻撃をしかけるというやりかたがあるのだ。キーパーが前に出れば1人多くなって有利になるが、ボールをとられたが最後ポーンとゴールに蹴られると防ぎようがない。この日は3-0から相手チームがキーパー攻撃参加を決め、それがことごとく失敗して無人のゴールに3回も追加点が入って6-0になったので、会場はおまつりさわぎであった。ただしその後、1点はキーパーが決めたので、これ、3-0の段階でいきなりキーパーがゴール決めて3-1になってたらまだわからなかったな、と思わなくもない。
ボールを止めて蹴るだけでスポーツになるわけはない。さまざまなルールでプレイヤーたちを縛り、その制限の中から戦略が生まれて、「あっ、そういうふうに進むのか!」というストーリーがフィールドに生まれていく。
行きに地下鉄東豊線豊平公園駅に飾られていたエスポラーダの選手のパネルを見てもなんとも思わない、ああ、20代の肌つやのいい男たちが無駄にヒゲをはやしたり首元にジャラジャラ何かをつけたりしてユニフォーム以外のところで差別化を果たしているな、くらいの感想なのだが、たかだか2時間弱の試合観戦のあとには選手の背番号がかけがえのないものに思えて、名前と顔も一致しはじめる。観戦中は顔までは見えないので、帰り道にはポスターをまじまじ眺めて、「お前……今日……かっこよかったな!」と、行きとはまるで違う感動を得る。通路の反対側には、同じく「きたえーる」で試合をすることがあるバスケットボールチームのレバンガ北海道の選手写真も飾っているので、バスケを見に来ればこちらの写真もまた華やいだかっこよさをぼくの心に届けてくれるのだろう。今はまだ、茶髪と首元のジャラジャラでユニフォーム以外のところで差別化を果たしている20代の肌つやのいい男たちにしか見えないのだが……。
ちなみにバスケのレバンガは想像のとおりがんばれを逆さにしただけの残念ネーミングである。コンサドーレが道産子を逆にしてオーレを付けましたと公式発表したときの道民のずっこけを思い出す。人が集うドームだからつどーむ、北で鍛えてエールを送れのきたえーるも全員同罪だ。これに比べるとエスポラーダはすごい。
”エスポラーダ(espolada)は、ポルトガル語で"北極星(estrela polar)"と"戦士(soldado)"を合わせた造語。 北の空に輝く北極星の様に、強く輝く戦士という意味が込められている”
エストレラ・ポラーはわかるがソルダードがどこに入ったのかよくわからない。ひねればいいというものでもないのだ。でもまあかっこいいからいいか。(元)病理医ヤンデルはエスポラーダ北海道を応援しています。