2023年10月20日金曜日

医者には怒られるだろうが

出張から帰ってきてスーツを脱いだらすぐ職場のデスクに向かった。金曜日の夜にやりのこした外付けモニタの組み立ての続きをする。アームに取り付けてデスクの横に「生やす」。これで小さいノートPCの画面を拡張できる。が、先日買ったばかりの小さいPCはまだ接続できない。職場に新しいPCを持ち込むときにはいろいろと制限がかかる。「登録」の「申請」をするのにまだしばらく時間を要する。最終的にデスクが前より2段階くらいパワーアップするにはあと数日必要だろう。デスク周りの小仕事はここまで。出張帰りのカバンを整理しよう。いただいた名刺をフォルダにしまっていく。紙を手渡すこと自体におそらくなんらかの癒やし効果がある。癒やし効果だけある。中年をお互いに癒やすための紙のやりとり。その紙をしまいこむことで失われていく関係があり熱量があり、だから火照らずにやっていける。出張帰りにシャープの書いた本を読んだら、目次のところにわずか2,3行程度、Twitterが2023年のあるときからXと名称変更したのだけれども本書ではいろいろ考えてTwitterとかリツイートといった表記をそのままにしておくよ、という断り書きがあって、ああこれは編集者が入れたものかもしれないと思った。実際にはシャープが入れたものかもしれないのだけれどなんとなくそういうのはわかるよなあと感じた。領収書を捨てる。使わなかった指定席券を捨てる。ひととおりの紙ゴミを処分してインターネットを開くとトークイベントの告知がはじまっていた。11月14日(火)に京都の書店で大塚篤司教授と対談することになっている。彼の新刊『皮膚科医の病気をめぐる冒険」は大塚の臨床における問題意識がものすごくきちんと反映されたいい本だ。問いが強い。一対一対応するような答えが存在していない話ばかりを扱っている。それなのに一つ一つの話が「そこそこ軟着陸する」ことがすばらしい。これを問いとして放り出して終わっていたら読後感はだいぶ違っていただろう。ぼくは今回、茶化すでもなく盛り上げるでもなく司会に徹するでもなくきちんと「対談」をする。豆塚エリさんとのトークイベントやYouTubeにも言えることだが、ちかごろはとにかく、自分の全力を出せる場所があってうれしい。やれるだけやっていいよと言われていることがうれしい。全力を出してもどうせ足りないのだ。それがいいよ、それでいいよと言ってくれるのがありがたいと思う。


新しく届いたサブモニタを古いPCに接続してみる。画面が明るい。デスクが狭苦しく感じる。輝度を一気に「10」まで落とした。顕微鏡を見るときも明かりはだいぶ暗くしている。脳に届く刺激の総量を少しずつ絞るようになっている。先日、古い方のTwitterアカウントの新規フォロワー確認をまる2日忘れていた。そういえば血圧の薬も1日分飛ばしてしまった。それくらいでいいのかもしれない。医者には怒られるだろうが、ぼくはこれで十分、全力でやっていて、それでも取りこぼすものはもう、こぼれてしまってもしょうがないものだと割り切っていくしかないのである。