2021年7月14日水曜日

リアクション10級

リアクション芸人は、一度のバラエティ番組の中でそうそう何度もビックリしない。

司会が何かひとこと言うたびにイスから落ちていたら、番組が前に進まない。

ゲストが何かひとつボケるたびに爆笑してたら、話がぶつ切れになってしまう。

ここぞというときだけリアクションするからいいのだ。

数少ないリアクションがおもしろいからこそ、「芸人」としてメシを食っていけている。

「数を打たないことで輝くワザ」を持っているのがリアクション芸人なのである。



こうやって文章にして読むと、あーそうだよなーほんとだよなと思うのだけれど、ぼくはたとえばYouTubeでもポッドキャストでも、「聞き役」にまわるときに、リアクションが過剰である。プロじゃないからヘタである、もちろんそういうことなのだが、さっき上に書いたように、理屈としてはわかっているのに、いざ、実践となると、「よく反応すればするほど相手は喜んでノリノリにしゃべってくれるに違いない」という錯覚に取り付かれてしまい、ずーっとうなずいたり声をあげたりのけぞったりしている。そんなにリアクションはいらないのだ。わかっていても唱えていても、だめなのである。

どうしても直らない。




プロのやっていることが正しくて、理屈にも合っていて、結果もきちんと出している。

そしてぼくのようなアマチュアは、現場に飲み込まれると、どれだけ理論を持っていても、その場その場で、ゆがんだ本能の声に従って、「よかれと思って」ズレたことをする。

この感覚をぼくは主に「しゃべりかた」と「リアクション」でいつも痛感する。



そして、おそらく、別の領域では、ぼくがどちらかというと「プロ」に近い場所に立っていて、ぼくより「アマチュア」な人びとがとる行動を、「なぜそんな理屈に合わないことをするんだ、ちょっと考えればわかるのに」と、なじっていたりするのかもしれないな、と思ったのだった。それはきっと医学がどうとか科学がどうとかいうわかりやすい話だけではなくて、もっと込み入った、「えっ、ぼくってこれプロだったの?」という部分もきっとあるのだ。そういうことを覚えておいたほうがいいのかもしれないな、と思ったのだ。いざとなったら忘れてしまうのだろうけれど……。