2020年10月6日火曜日

最後だけが実話

このあとお惣菜を買いに行こうと思っているのだが、もう少し待つと値引きのシールが貼られそうだなと思ったので、あと15分ほど待つ。この間にブログを書くことにする。


そうやってタカタカと打ち始めたがどうもスピードが出ない。爪が伸びているからだ。さっそく爪を切る。これで3分ほど使った。あと12分。


ここから話題を考える。今日は、飲み会の話をする。


ぼくは飲み会がきらいだ。人に会うのもきらいになってきている。何が一番きらいなのだろうとしばらく考えた。2分使った。


たぶん名刺がきらいなのだ。名前に興味がない。顔が覚えられない。話題は覚えている。だから関係を結ぶためには長く話をするしかない。でも名刺はそこを一瞬で詰めようとする。ほら、これで話題が増えるよね、という圧があの小さな紙の中に満ちている……。





話題がこれ以上ふくらむ気がしない。そもそも飲み会がきらいな理由を名刺というアイテムひとつにおっかぶせることに無理があった。なので話題をかえよう。1分考える。





最近は、よく知らない人の本を読むのが楽しい。特にエッセイ。知っている人のエッセイは知っていることが書いてあってつまらない。でも、義理と人情で、知っているつもりの人のエッセイを読んで、「この人のことずいぶん知っているつもりだったけれど実はあまり知らなかったんだな」という驚きに衝突することもある。つまりそう簡単に言えることではない。上手なエッセイストというのは、ほんとうによく「ぶつかってくる」。その衝撃がたのしい……。




あと6分くらいある。まあいいか、お惣菜じゃなくて冷凍食品にすれば、値引きシールとか関係ないもんな。さっさと買いに行き、さっさと食って、「もう、何もやらなくていい時間」をそのぶん5分くらい伸ばした方が、今日のぼくにはちょうどいいのかもしれない。「あれをやるためにあと〇分」の生活からはやめに逃げ出したほうがいい。もうでかけることにする。そういえば先日、すべての腕時計をなくした。