2021年10月27日水曜日

病二十病

タイムラインに「柴犬とチワワのミックス」の話が出てきた。ツイ主が「シババかわいい」と言ったらペットショップの店員に「柴チワかわいいですよね」とやんわり訂正された、という胸熱エピソードだった。そこから連想がどちらに言ったかというとヒンドゥーのカミサマのほうに飛んでいった。おわかりかもしれないがシヴァ犬である。


Wikipediaによればシヴァは形の無い、無限の、超越的な、不変絶対のブラフマンであり、同時に世界の根源的なアートマン(自我、魂)だ。見た目の特徴は、額の第三の目、首に巻かれた蛇、三日月の装飾具、絡まる髪の毛から流れるガンジス川、武器であるトリシューラ(三叉の槍)、ダマル(太鼓)などで、インド、ネパール、スリランカなど全土で信仰されているという。以上はコピペしただけなんだけどこうして読んでみるとかなり強めの神様だ。


しかしシヴァといえばぼくにとってはファイナルファンタジー(FF)シリーズの召喚獣である。神様からいきなり使役されるケダモノ扱いなので申し訳ない感覚がある。どこかの国のゲームで神武天皇あたりが召喚獣として用いられていたら日本人はもやもやするんじゃないかな、とびくびく気を回したりする。まあ神様であればそんな些細なことを今さら気にも留めないのだろうが。


シヴァはFFだと氷の魔法を使う。でもWikipediaのどこを読んでもシヴァに氷らしさはない。ファイナルファンタジーでトリオを組まされるイメージのあるラムウ・イフリートなども原典にはいっさい出てこない、というか、本来インドでシヴァと並び称されるのはヴィシュヌでありブラフマーだ。ううむここまでアレンジしてあるものなんだな。逆か、アレンジしないと堂々とは使えないのか。「名前は似てるけど響きがかっこいいからたまたま似ただけで別モノだよ」と理解したほうがいいのかもしれない。


と、ここでタイムラインで知ったのだがグランブルーファンタジーに出てくるシヴァは炎属性なんだって? ははーなるほどなー、本当にゲームごとに好き勝手に変えていくんだなあ。おもしれえなあ。




さてここからはかわいい中二病の話になる。中学生のころにこっそりと書いていたゲームブック的小説がある。ぼくもきちんとそういう時代を過ごしていた。リングノートの小さいやつみたいなのにイラストもりもりでファンタジーを書きためた。もし今発掘されてネットに流れたら5G回線ごと世界を無にして私も消えよう。永久に。その中に出てきた登場人物の名前、かっこいいと思って付ける語彙、所詮は中学生であって、いくつも選択肢があるわけではないので、どうしても狭い観測範囲で「あっ」と思ったものから名付けることになる。そのうち一つは国語か社会の教科書に書いてあった「アーカンサス十字唐草文様」で、そのままアーカンサスという名前の登場人物がいた。書いていて血圧が300もしくは30になる(どちらであっても命にかかわっています)。

そしてもうひとり、これは後にけっこう「ああ……これいつか書こう……」と思ってもはずかしくてなかなか書けなかった話なのだけれど(一度たぶん書いたけど)、ヴュロスという名前のキャラもいた。たぶんウにテンテンのついた名前を使いたかったのである。元ネタはない、たぶんカタカナを書いて調整して作った。のちにふと思い出して、そういえばヴュロス的なかっこいい英単語とかないのかな、と思って検索したのだけれど、中学生が適当に考えた名前に後付けでかっこいい由来が生まれるわけもない。いろいろ探しているとbullous(水疱症)というのがちょっと近いかなと思ったけれどこれもウにテンテンではない(ビュだ)。そうこうしているうちに中二病は自然消退し、黒歴史は色と同じ棚の中にしまいこまれて引っ越しをくり返すうちに全て散逸してしまった。

そして今ふと、vullosで検索を書けてみると知らないものがヒットした。Vullo'sというピザ屋さんがドイツのKulmbachという田舎町にあるようなのである。ぼくはなんだか旅に出たくなってしまった、ちなみに検索したものを見てすぐに旅に出たくなるのは中二病と当たらずとも遠からぬものを感じる。病理医二十年目あたりでこのヤマイは重くなりそうな予感がある。2022年の4月になるとぼくは十九年目だ、もうすぐではないか、病二十病と名付けて警戒を怠らないようにする。