2021年10月1日金曜日

ジーユーアゲイン

GUで毎年似たようなパンツを買っている。ベルトをさせる穴があるやつで、ベルトがなくても腰のところでヒモをしばれるやつで、一見ストレートなチノだが進展性がよく、あぐらをかいても膝が出ない。これにワイシャツを合わせてジャケットを着るのが出勤するのに楽だ。洗濯機で洗えばすぐかわくし、遠目にはまじめなジャケットスタイルに見える。


今調べてみると「ストレッチアンクルパンツ」あたりがそうなのだろう。いちいち商品名を確認して買うことがなく、店頭で「そうそうこれこれ」と手に取って3本くらい買って、1年間使う。夏はいいが冬はやや寒いので冬用にさらに分厚いのを2本くらい買う。これをひたすら、毎日履いている。


物持ちはよく、1年くらいだとそんなに傷まないのだけれど、たいして高いパンツでもないのでヨレたら買い換えることができて清潔だ。夜中までZoom会議をしていても疲れない。仮にホルマリンがかかっても惜しまず捨てることができる(かかったことはないが)。


パンツにお金をかけず、ワイシャツも1枚3000円くらいのものを7,8枚まとめ買いしてずっと着回している。襟が死んだら買い換える。


40をすぎてこの程度のコーディネートだとさすがに人前に出るのはきついのでは? と思うが、なにせ、人前に出ないから気にならない。オンラインだと色の濃いジャケットさえ羽織っていれば向こうから値段はまず読めないだろう。体型にフィットさえしていれば会議や対談の相手は勝手にこちらが高いジャケットを着ていると思い込んでくれる。便利なものである。


こうして服飾費がどんどんかからなくなっていくので、たまには少しいいジャケットでも買うかな……と周りに言いふらしてはや5年くらいが経つ。いつになったらジャケットを買うのかと笑われるありさまである。ネットで買えるほどのセンスがなく、店頭で実物を見てみないと、袖を通してみないと布の感覚がわからない。しかし外出はできないのだから八方塞がりである。いや、まあ、外出できなくなる前からずっと「ジャケットくらいいいものにしたい」と言い続けていながら買っていないのだからこれは言い訳かもしれない。


最近本当に思うのだが、自分にあっている服装をきちんと微調整して着ている人というのは基本的に話がうまい。人からどう見られるか、というメタな視点が強いからかもしれない、しゃべり方に不快なニュアンスがにじまない気がする。「服なんてどれでもいいだろう」と言うタイプの人は、どんなに人気者であってもふとしたときに「周りの人を置いてきぼりにするエゴ」みたいなものが見える気がする。服というのはその人の社会性……とは違うか、「社会の中で自分がどうありたいか」を簡単に伝える部分なので、あまりに無頓着だとちょと大丈夫かなと思ってしまう。では自分のこのGUスタイルは望ましいのかというと、たぶん、本当は望ましくない。けどZoomのフィルターでどうせわかんなくなっちゃうんだよな。まだ当分この言い訳は言い続けることができる。最後にスーツを買ったのは何年前だろう?