2022年11月25日金曜日

有用性の検証

指に毛が生えている。

「拳を握ってサンドバッグを殴るかたちにする」とき、「サンドバッグに触れる部分」に毛が生えている。

親指にはあんまり生えてない。

人差し指から小指までの部分、まさにサンドバッグを殴れるところにくまなく生えている。

この毛なんなの。進化の過程で本当にこれが必要だったの?


「まゆげは目に汗が垂れないために必要なのだ」みたいなこと言う人いるけど。指の毛の機能とは?

たぶん、必要だから残ったってわけじゃないな。さらに何千年も経ったらこの毛は消えていくんじゃないのか。だって絶対役に立ってない。


「虫垂」が進化の過程で短くなった盲腸の痕跡だという説がかつてあった。しかし今は、虫垂の中に腸内細菌がリザーブメンバーとして控えるという「サッカーにおけるベンチとしての役割」が指摘されている。ひとたび腸炎を起こして腸の中がぼろぼろになっても、虫垂から控えが飛び出してきてまた腸を守ることができる、みたいな説に置き換わりつつある。

しかし、だからといって、人間の体の中にあるものがすべて何かの役割を果たしているというのは言い過ぎでないかと思う。

たとえば男性の乳首は働いてない。尾てい骨だって特に仕事してるとは思えないし、指の毛だってきっと何の役にも立ってない。



朝から晩までPCの前にいる。ただし年齢的にも体力的にもそれがしんどくなってきたから、最近はよく、仕事の合間に立ち上がってストレッチをしたり、ときおり医局まで早足で歩くなどして体を動かす。それでも、仕事に対する集中力が上がってくると、やっぱり長いこと座って、ずっとキーボードをバカスカ叩いたり、PDFで何かを延々と読んだりすることになる。さらには、斜め上の方を見て何事かを真剣に考える。

そういうときたまに、自分で自分の指の毛を無意識に触ったりなでたり、一方向に揃えたりしている。先日気づいた。

認めたくないことだが、指の毛は精神安定に効果があるらしい。ぼくのささくれた心をおだやかにするために、指で触りやすい場所に短くてやわらかい毛が生えているのかもしれない。進化ってよく出来ているなあ。