ハラハラする。
文化祭の前にああでもないこうでもないと企画を考えているときの楽しさ。
実際に作業がはじまると、わりとみんな部活とかを理由にあんまり手伝ってくれなくて、まじめな委員長と副委員長だけが泣くときの、あの悲しさ。
マゼコゼに、いろいろと思い出す。
ぼくは副委員長の立場であることが多かったな。
医療情報発信にまつわるさまざまなイベントに首を突っ込んでいる。また、医療とは関係のない場でもちょいちょい、脇役としての参加を求められる。
本業(病理診断、あるいは「画像・病理対比」)が、もともと黒子みたいなところはある。
裏方、副委員長、副キャプテン、みたいなところがぼくの天職なのだろう。
そもそも臨床画像・病理対比なんてものも裏方の極地だ。
夜中にデスクでノートPCに覆い被さるように、パワポをのぞきこんで、画像と病理の写真にマウスで絵を描いていく。何日もかけて作った「できのわるいマンガ」に、「やや稚拙な話芸」をかけあわせていく。
この時間が、地味にとても長い。
地下室で、魔女が、壺の中で何かを延々と煮込んでいるように。
永遠のような時のあとに、「病理」というスパイスをふりかけると、とたんに、多くの人が食える料理になる。カレー粉を入れればなんでもうまくなる、みたいなところがある。でもこのスパイスが使えるのはほんとうに最後だけだ。
香辛料だけでは腹は膨れない。
学術講演で、聴衆が「わぁっ」と喜ぶような、キメのアイディアを考えている間はとても楽しい。文化祭3か月前の楽しさ。
そして画像・病理対比のほとんどは、文化祭1か月前の厳しさの中で進んでいく。
「裏方業」が長くなってくると、だんだん、表に出てる人たちが気兼ねなく輝くためには自分がどれだけ先に動いておけばいいか、みたいなことばかり気になるようになる。
香辛料の種類を選んでいるときが一番気楽で、責任がなく、楽しい。
しかし実際にはコトコトカタカタ、ぐつぐつ、きちんと下ごしらえをする時間を長くしないとうまくいかないということを、日々かみしめている。