庭に小さな、ほんとうに小さな畑を作っている。プランターでいいじゃねぇかと言われるくらい小さい畑だ。
今年は、きちんと土を入れ替えずに苗を植えてしまったので、毎日天気はすごくいいのだが野菜の生育がよろしくない。去年はきちんと育ったのにな。
ミニトマトは「なんとか鈴なりになっている」。なんとか鈴なりってなんだ。でも本当にそういう感じなのだ。
キュウリは微妙である。まあいちおうぽつりぽつりと実はついている。3本ほど食べた。まあまあだった。
問題はナスとピーマンだ。ナスはともかくピーマンがろくに育たないというのはちょっとした屈辱である。こんなの放っておいても実が付くだろうと思っていた。あわてて追肥をしたけれどイマイチである。そして、ナス。このやろう。
ナスの苗を買ったとき、ラベルに、「一本でも満腹!」と書いてあった。でもまさか本当に一本ずつしか実が付かないなんて思いもよらなかった。そういう意味かよ! 一度収穫してから次の実がなかなか育たない。
元気なのは大葉やバジル。こいつらは際限なく増える。付け合わせばかりが元気に増えて、主菜を張れるたぐいの野菜がちっとも育たない。ツイッターみてぇな畑だなと思った。
今朝も早朝に水をやってから出勤したのだけれど、ホースの先につないだシャワーヘッドみてぇな散水機を手に持ってちろちろと苗の根元に水をやっていたら、お隣さんちの壁の前をネコが優雅に通り過ぎていった。今どき珍しいことだが、うちの町内では3,4匹くらいのネコが夜中に徘徊している(今日は朝だったけれど)。深夜に物置付近のセンサーライトが付くのに気づいて、誰か忍び込んでいるのかなと思ってドラレコの角度を調整して確認したらネコだった。見覚えのある模様のネコが目の前にいる。ああ、君か、という気分。直接出会ったのははじめてだ。
かつて、「子どものとも」だったか「科学のとも」だったかに、「ねこさんこんにちは」という絵本があって、ぼくはその本がとても好きで何度も何度も読み返していた。しかし時は令和、犬もネコも室内飼いが当たり前になった昨今、まさかの自分ちの庭を散歩するネコに会うとは。育たない野菜。通り過ぎる太ったネコ。推理がつながる。君、畑にいたずらしてないよな。ネコはこちらを見もせずにそのまま去っていった。一切の脈がない。これほどまでに無視されると厳しい。農協の下部組織に勤務しておきながら、ネコに無視されるような野菜しか作れないということ。この責任は厳しく追及されるべきであろう。うなだれたままちょろちょろ水をやっていると、苗の周りに雑草がやたらと生えている。てめぇらばっかり元気になってどうする。ツイッターみてぇな畑だなと思った。