2023年に開催される第31回日本医学会総会という学会のあれこれを手伝うことになった。といっても、ぼくは末端も末端、ものすごい数の人がかかわる中のいちばん末席で、ちょろちょろツイートすればいいくらいの楽な関わり方だ。たぶん、この学会の大会長はぼくのことを知らないし、協賛企業もぼくのことを知らないし、演題を発表する医師たちもぼくのことを知らないし、市民向けイベントを見に来る50万人(予定)の市民もぼくのことを知らないだろう。その程度のものである。大会ホームページはすでにできている。
(↑現時点でhttpだ。httpsになってない。こういうところ早くなおしてほしい。)
このイベントを見に来る市民の数を50万人と書いたが、別に大きく見積もっているのではなくてふつうにこれくらいくるそうだ。前回、名古屋国際会議場という、アクセスがさほどいいとは言えない、レゴランドの隣あたりの開場でやった「第30回」の市民向けイベントには30万人来場したらしい。ぼくもその場にいたけれどすごい数の人が確かにいた。今回は丸の内を広めにジャックするから、普通に50万人、あり得る。
現時点で後援が決定している団体がすごい。
日本医師会、日本歯科医師会、文部科学省、厚生労働省、
環境省、経済産業省、国土交通省、総務省、東京都、
NHK、日本病院会、日本看護協会、日本薬剤師会、
日本病院薬剤師会、日本診療放射線技師会、読売新聞社、
朝日新聞社、毎日新聞社、日本経済新聞社、産経新聞社、東京新聞、共同通信社。
ゲェー全部じゃん! と言いたくなる。さらに、企業展示というのがあり、すさまじい数の協賛がつく。ただし、このイベントはあくまで「学会」なので、運営にたずさわる医師たちは全員無償で働く。ぼくのような末端の兵卒だけではない、上層部も全員そうだ。学会活動というのはそういうものである。特に、主務機関としてあげられている、
東京大学医学部、東京医科歯科大学医学部、
慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、
順天堂大学医学部、杏林大学医学部、
昭和大学医学部、帝京大学医学部、
東京医科大学、東京女子医科大学、
東邦大学医学部、日本大学医学部、
日本医科大学、国立がん研究センター、
国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、
国立成育医療研究センター、東京都医師会
あたりはものすごい物量の無料奉仕をするのだ。それがアカデミアの使命といえば使命ではある……しかしここでもまた、ゲェー全部じゃん! という感想が出る。
ぼくもこれまで、日本病理学会、日本超音波医学会、日本デジタルパソロジー研究会などさまざまな場所でいろいろ企画の手伝いをしてきたがそれらもぜんぶボランティアであった。学術活動は「業務」ではあるがそれ以上に「学術」であり、報酬がないことに不自然さは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない。今、手首が痙攣してちょっと変なところを押してしまったけれど大丈夫です。なお、学会の場合、「講師としてまねかれたとき」には例外的に講演料をいただけるが、いただいたお金を講演の準備時間で割ると時給は数百円くらいになる。そして、他人の講演の準備をしたり座長をしたりする場合には一円ももらえない。まあ、学会は儲からない。でもみんなが目の色を変えてやる。そういうものだ。
日本医学会総会の準備にかんしても、ぼくは一円ももらうことはできない。でもいい。これは、医療者としての責務に含まれているからである。学会という場を通じて、
・医師(同業者)に学術情報を届け、
・市民に安心できる医療情報を届ける
ことは医師の義務だ。そして、これだけの団体・大学・公的機関がこぞって参加する「お祭り」を、自らが持つ専門性で楽しくワッショイできることは幸せなのである。
これは洗脳とか言いくるめではない。わりと本心だ。多くの名のある医療者たちに混じって、最新の医療の姿を、専門家にも素人にも、隣人にも遠方の見知らぬ人にも届けられるというのは人生の甲斐だと思う。そう思えない人はそもそもこのイベントに手を貸していないし、手を貸さなかったからと言っておとしめられることも一切ない。だから安心して欲しい。さきほど、「お祭り」と書いたが、まさにお祭りなのだ。浅草の祭がワッショイしているところを「よくやるぜ」と遠巻きに見ている人はいっぱいいると思うけれど、ああいうワッショイワッショイが日本のどこかにあること自体は悪くないと思わないか?
ということで、スパイス程度の自己犠牲感がないとは言わないが、ぼくはこの「 #医総会2023 」をニコニコしながらお手伝いすることに決めた。そういうツイートもちょっと増えるかもしれないが許して欲しい。なお、いろいろな人に広報を手伝ってほしい。お手伝いしてくださる相手が「非医療者であれば」本部からお金を出せる。プロの手を借りる気はまんまんだ。ぼくらは今回、お金があるが自分たちには使わず、多くのプロを巻き込んで、お祭りを成功させるつもりなのである。